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徳川家康(20)

伏見城に滞在している家康のもとに秀忠に嫡男が誕生した報せがもたらされます。一方、大坂城では、千姫の侍女栄の局が、豊臣秀頼の子を妊娠したことが発覚し、その対応に苦慮していました。やがて、家康は、将軍職を秀忠に譲ることを決意します。秀忠は、そのために大軍を率いて上洛するのでした。

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主な登場人物

あらすじ

征夷大将軍となって1年2ヶ月。伏見城に滞在する家康のもとに秀忠から男子出生の報告が届きます。徳川の後継者となることから、家康と同じ幼名である竹千代と名付けることが決まりました。

その頃、大坂では、千姫の侍女の栄の局が豊臣秀頼の子を妊娠していました。片桐貞隆は、栄の局を問いただし、秀頼の子であることを確かめます。そして、本阿弥光悦に栄の局を高台院のもとに送り届けさせることにしました。

泰平の世を盤石のものとするため、家康は、将軍職を秀忠に譲ることを決意します。そして、朝廷には、豊臣秀頼を右大臣に推挙することとしました。徳川が武家の頂点、豊臣が公卿の頂点に立つことで、天下泰平を実現しようと考える家康。しかし、公卿の実態を知り尽くしている高台院は、秀頼に公卿の頂点に立つ器量があるか危惧します。

将軍職を引き継ぐため、秀忠は大軍を率いて上洛。それと一緒に秀頼も二条城に登城する計画でしたが、淀の君によって阻止されるのでした。

読後の感想

家康が征夷大将軍となり、いよいよ泰平の世の実現が近づいてきました。

早々に将軍職を秀忠に譲り、そして、豊臣秀頼を右大臣に推挙することで、徳川豊臣両家の安泰も図ろうとする家康でしたが、彼に不信感を抱く淀君によって、その計画は潰えようとしていました。

第20巻では、徳川豊臣の水面下での駆け引きが読みどころですが、商売人としての大久保長安の密かな計画からも目が離せません。

佐渡で金を掘り出していく大久保長安は、海外との貿易によって国内の富を増やしていくことを考え始めます。そして、その実現に伊達政宗を利用しようとします。

大久保長安は、家康の子の忠輝の家老であり、伊達政宗にとって忠輝は娘婿の関係です。

西洋では、マルコ・ポーロが日本を黄金の国と伝えていたことから、大久保長安は、これを上手に活かし、西洋諸国との貿易で国内に多くの富をもたらそうと考えていました。

関ケ原の戦いから大坂の陣までの14年間については、家康がどのようにして豊臣を滅ぼせるかを画策していた期間として、歴史小説で描かれることが多いです。しかし、家康は、14年という期間をただそれだけに費やしていたのではありません。

三浦按針(ウィリアム・アダムス)に西洋事情を聴き、新教国と旧教国との間で争いが起こっていることなどを知り、それらの国々とどう付き合っていくべきかを考えていました。

この14年という期間は、江戸幕府260年の歴史にとって非常に大切な期間だったのではないでしょうか。

徳川家康(20)-山岡荘八
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