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豊臣秀吉(3)

桶狭間の戦いに勝利した織田信長の次なる目標は美濃の斎藤でした。織田家の武将たちは墨俣で斎藤勢と戦いますが、そのたびに苦汁を飲まされるだけ。しかし、木下藤吉郎が墨俣築城を成功させると、形勢は織田有利に傾きだすのでした。

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主な登場人物

あらすじ

織田信長が桶狭間の戦いで今川義元を討ち取った後、木下藤吉郎(豊臣秀吉)は、寧々(北政所)と祝言を挙げます。

その翌朝、藤吉郎は濃姫のもとを訪れ清州城の石垣の普請を自分に任せてもらえるように願い出ます。そして、工事を開始してから、これまで三月が経とうとするのに終わる気配がない石垣の普請を藤吉郎はわずか10日で終わらせるとホラを吹きました。

濃姫は藤吉郎のホラを信長に報せます。すると、信長は藤吉郎に石垣の普請を10日で終わらせるように命じます。こんな短期間では不可能と思われましたが、藤吉郎は人足たちをうまく使い、見事に石垣の普請を期限までに終わらせたのでした。

さらに藤吉郎は、織田と敵対する斎藤龍興との戦いに備えるために信長から墨俣の築城を命じられました。墨俣は、これまで柴田勝家など織田家の家臣たちが何度も斎藤に負かされている場所。そこに城を築くことは並大抵のことではないのですが、藤吉郎は蜂須賀小六(正勝)の力を借りて見事墨俣城を完成させます。

そして、藤吉郎は斎藤方の武将大沢治郎左衛門(正重)と運命的な出会いをするのでした。

読後の感想

桶狭間の戦い後、藤吉郎は寧々と祝言を挙げます。藤吉郎にとって寧々との結婚は後々の出世にとって、重要な出来事と言えるでしょう。ホラばかりを吹く藤吉郎に知恵を授けたり、時にブレーキをかける寧々。彼女の機転の利く性格が、節目節目で藤吉郎を支えていきます。

また、藤吉郎にとって大切な女性は寧々だけではありません。信長の妻の濃姫もまた、藤吉郎の出世を手助けします。清州城の石垣の普請、墨俣築城、いずれも濃姫がいなければ藤吉郎に仕事は回ってこなかったでしょう。

山岡荘八の「豊臣秀吉」は、藤吉郎を助ける女性たちの活躍が随所に描かれています。また、蜂須賀小六や大沢治郎左衛門など、藤吉郎に力を貸す人物からも目が離せません。

人に頼り、人に助けられて手柄をたてていく木下藤吉郎。時には調子の良いことを言って失敗してしまいますが、そのたびに彼を助ける人物が登場し苦難を乗り切っていくのが、本作の読みどころですね。

豊臣秀吉(3)-山岡荘八
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