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徳川家康(17)

石田三成の失脚後、家康は、天下を預かる決心をし、大坂城に乗り込みました。浅野長政や前田家など、不穏な噂がある大名たちを次々に処分していく家康。これに対して、謹慎中の石田三成は豊臣家を守るため、家康を討つ準備を進めていくのでした。

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主な登場人物

あらすじ

石田三成が失脚して5ヶ月。家康は天下を預かるため大坂城に乗り込む決心をしました。

しかし、家康の大坂入城に合わせて暗殺を企てている者がいるとの噂がありました。これに対して、家康は家臣60人を伴い大坂城に入り、家康の命を狙っていると噂された浅野長政を謹慎させ、また、前田家に対しては前田利家の正室の芳春院を人質に出すよう迫りました。

家康が大坂城で政務をとる裏で、石田三成は家康を討つための準備を密かに進めていました。また、会津の上杉景勝も不穏な動きを見せ、家老の直江兼続が家康に対決姿勢を見せてきました。

上杉景勝を討伐するため、東下する家康。その隙を突いて挙兵する石田三成。

家康は、石田三成の挙兵に備えるため、伏見城に鳥居元忠とわずかな兵を残します。

石田三成の西軍に取り囲まれた伏見城は、甲賀衆の裏切りにより落城。鳥居元忠も、自害して果てるのでした。

読後の感想

石田三成が佐和山に謹慎となり、家康が政治の中心となります。遂に家康は、天下を預かる決心をしたのでした。

これまでの家康は、自分の手で天下を治めることよりも、周囲との人間関係に重きを置く姿勢が見られましたが、石田三成を失脚させた後から、自分が積極的に政治に関与する覚悟が必要なのだと悟ります。

しかし、この家康の覚悟に対して、豊臣家を乗っ取ろうとする本性を現したと確信するようになったのが石田三成と上杉景勝の家老の直江兼続でした。

直江兼続は家康のやり方を糾弾し、また、石田三成も豊臣恩顧の大名たちを味方につけ家康と天下を二分する決戦をしようと動き出します。

石田三成は、自分が総大将となって家康と戦いたい気持ちはあるものの、これまで多くの敵を作ってきたことから、自分が総大将になることは難しいと判断します。そこで、大谷吉継と安国寺恵瓊を味方とし、安国寺恵瓊に毛利輝元を説得して西軍につけるよう仕向けます。この辺りに石田三成の苦悩が見て取れますね。

上杉景勝討伐のため家康が東下した隙を突き、挙兵した石田三成でしたが、彼の前に2人の人物が立ちはだかります。1人は細川ガラシャ、もう1人は鳥居元忠です。

石田三成は、大名の妻たちを人質とし大坂城に監禁して諸将を味方に引き入れるつもりでいましたが、細川忠興の妻・細川ガラシャがこれを拒んだことから、他の大名も大坂城に人質を出さなくなりました。ここから、石田三成の計算が狂い始めます。

石田三成は、家康との決戦前に無駄な戦をしたくありませんでしたが、伏見城にたてこもった鳥居元忠が降伏勧告を受け入れず頑固に抵抗したため無駄な戦いを強いられることになります。

細川ガラシャも鳥居元忠も、自らの命と引き換えに石田三成に大打撃を与えたのでした。

一方、家康も、豊臣恩顧の大名を味方につける必要がありました。家康は、石田三成とは違い、その度量の大きさを諸将に見せることで結束を固めようとします。ここが、第17巻の読みどころと言っても良いでしょう。

徳川家康(17)-山岡荘八
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