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徳川家康(10)

柴田勝家と織田信孝を滅ぼした羽柴秀吉は、次に織田信雄の排除に動き出します。秀吉は、信雄の3人の家老を利用し信雄を疑心暗鬼にさせていきました。一方の信雄も家康に助勢を要請します。秀吉と戦うべきか迷う家康でしたが、ついに信雄とともに秀吉と戦う決心をするのでした。

主な登場人物

あらすじ

羽柴秀吉が北ノ庄で柴田勝家を滅ぼした報せを受けた家康は、徳川と秀吉との間の交渉役を誰にすべきか本多作左衛門(重次)と話し合い、石川数正が適任であると結論を出しました。

しかし、秀吉が石川数正を彼の諜者だとの噂を流し、徳川家臣団の結束を弱めようとするかもしれない不安が家康にはありました。

その頃、秀吉は、織田信雄の3人の家老を招き、自分の実力を見せつけていました。秀吉の実力を知った3人の家老は、信雄に秀吉と三井寺で会見するようすすめます。そして、彼らは、その会見で、秀吉を暗殺するつもりだと信雄に打ち明けました。しかし、会見の当日、3人の家老は秀吉を暗殺することはできませんでした。

一方の家康は、信雄から協力を頼まれ秀吉と一戦交えるか思案していました。もしも家康が信雄の要請を受ければ、3人の家老は戦を避けるよう信雄に進言するはず。そして、彼らは、信雄に秀吉に寝返ったと疑われ粛清されることを家康はわかっていました。

しかし、家康は、信雄のもとに酒井重忠を使者として送り、ともに秀吉と戦う意思があることを伝えるのでした。

読後の感想

第10巻では、小牧長久手の戦いを中心に物語が進んでいきます。

柴田勝家と織田信孝を滅ぼした羽柴秀吉は、次に織田信雄に照準を定めます。秀吉は、信雄の3人の家老と話をし、うまく彼らを丸め込もうとしていました。しかし、これは表面的にそう見せるだけで、実は3人の家老が秀吉に内通しているのではないかと信雄を疑心暗鬼にさせることが、秀吉の真の狙いでした。

一方、家康は、信雄からともに秀吉と戦ってくれるようにと要請されていました。もしも、家康が信雄の要請に応じると、3人の家老は秀吉と戦うべきではないと信雄を説得するでしょうが、そうすれば信雄が3人の家老を粛正することは明らかでした。それでも、家康は、秀吉と一戦交えるため、信雄の要請を受け入れることにしました。

この後、いよいよ小牧長久手の戦いが始まります。

家康、秀吉の双方とも思惑を持っての戦いでしたが、その他に池田信輝も、この戦いにかける思いがありました。第10巻では、池田信輝の奮戦も読みどころとなっています。

徳川家康(10)-山岡荘八
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