徳川家康(12)
朝日姫を嫁がせた家康のもとに今度は、母の大政所を送る決心をした秀吉。早期の天下統一を望む秀吉に対し、徳川家中では、豊臣の下風に立つことを許さない声が大きくなっていました。しかし、秀吉と同じように泰平の世を早く築かなければならないと考えていた家康は、上洛を決意するのでした。 |
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主な登場人物
- 徳川家康
- 長松丸
- 酒井忠次
- 石川数正
- 本多重次
- 榊原康政
- 井伊直政
- 本多忠勝
- 本多正信
- 大久保忠教
- 鳥居忠政
- 豊臣秀吉
- 大政所
- 北の政所
- 石田三成
- 浅野長政
- 朝日姫
- 織田有楽斎
- 増田長盛
- 茶々
- 高
- 島津義久
- 細川ガラシャ
- 茶屋四郎次郎
- 千利休
- 曽呂利新左衛門
- 淀屋常安
- 納屋蕉庵
あらすじ
朝日姫を家康に嫁がせた豊臣秀吉は、さらに母の大政所も送り、家康の上洛を促そうとします。
しかし、徳川家中では、秀吉の下風に立つことを許さぬ者が多く、大政所を人質に取るべきだとの声も聞こえてきました。
戦国の世を早く終わらせたいと願う家康は、秀吉も同じ思いを持っていることに気づき上洛を決意します。そして、家中の反発を抑えるため、2万の兵を率いて京に向かいました。
上洛した家康は、秀吉の弟の秀長の館に滞在し、後日、大坂城に参ることになっていました。ところが、突如、秀吉が家康の前に現れ、思いもよらぬ形での対面となります。
秀吉は、矢継ぎ早にあれやこれやと語り、家康の心はそれにつられるようにして和んでいきます。そして、家康は、これからの戦は自分がするから、秀吉の錦の陣羽織を頂戴したいと言い出しました。
これを聞いた秀吉は、後日、大坂城で正式に対面する際に諸侯の前で同じことを言って欲しいと頼むのでした。
読後の感想
天下統一を進める豊臣秀吉が、家康の上洛を促すところから第12巻は始まります。
朝日姫を家康に嫁がせた秀吉は、さらに母の大政所も家康のもとに送ります。徳川家中では、大政所を人質にするべきだとの声が大きくなっていましたが、家康は、2万の兵を率いて上洛することを決意します。
第12巻には、多くの読みどころがありますが、最初の読みどころは、朝日姫と大政所の再会です。徳川家中では、大政所は偽者ではないかと疑う者がいましたが、両者が再会を喜び合っているのを見て、本物だと確信します。
家康と秀吉の対面も第12巻の読みどころです。早期の天下統一のカギを握るのは家康だとわかっていた秀吉は、何としても、豊臣と徳川の関係を良好なものにしなければならないと考えていました。家康もまた、戦国の世を早く終わらせなければならないと考えていたので、両者の対面は、周囲の予想に反して和やかに終わります。
家康との対面を果たした秀吉は、直ちに九州攻めを開始し、島津義弘を屈服させました。しかし、その帰り、キリシタンの一揆を目にし、解決しなければならない課題がまた一つ増えたことを秀吉は悟ります。
第12巻では、他に茶々が秀吉に嫁ぐ決心をする場面も読みごたえがあります。茶々が、親の仇である秀吉に嫁ぐことを決心するまでの過程の描き方も、おもしろいですね。
また、秀吉を自分たちの意のままに操ろうとする堺の商人たちの影の活動からも目が離せません。
徳川家康(12)-山岡荘八 |
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