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徳川家康(21)

豊国祭を終えた京は繁盛し、戦国の世は遠い昔となっていました。しかし、家康を取り巻く環境は落ち着かず、旧教と信教の対立、大坂の豊臣をどうすべきかが課題となっていました。その頃、松平忠輝に仕える大久保長安は、伊達政宗に接近し、忠輝を盟主とする連判状を作成し、金の採掘のため世界に乗り出そうとしていました。

主な登場人物

あらすじ

豊国祭が行われたことなどで、京は繁盛し、戦国の世は遠い昔になってきました。

しかし、その頃、イスパニアとポルトガルの旧教、イギリスとオランダの新教との間での争いが激化しており、その影響は日本にも及ぼうとしていました。

旧教側のソテロは江戸に病院を作り、また、家康から新教側の三浦按針を引き離そうと画策します。しかし、家康には、どちらかに肩入れする気はありませんでした。

一方、我が娘五郎八姫を松平忠輝に嫁がせた伊達政宗は、大久保長安との関係を深めていきます。世界に乗り出し、金の採掘を夢見る大久保長安は、松平忠輝を盟主とする連判状を作成し、三浦按針などに署名させていきます。

70歳を目前にした家康は、我が子の義利と頼将、そして、豊臣秀頼の将来を案じていました。2人の子については、安藤直次と成瀬正成を陪臣として教育することを決めましたが、豊臣との関係悪化を避けることには苦慮していました。そんな時、阿江与の方が姉の常高院に手紙を認め、淀君と面会するよう頼むのでした。

読後の感想

関ケ原他の戦いから10年ほどが過ぎ、世の中から戦国の気風が消えていこうとしていました。しかし、将軍職を秀忠に譲った家康ではあったものの、まだまだ余生をのんびり過ごせない状況が続きます。

第21巻では、家康が、諸外国や豊臣との良好な関係をどのように維持していくかを中心に描かれています。

戦国の世は終わったとはいえ、まだまだ一波乱望む者たちがたくさんおり、世界に目を向ければ、旧教と新教との争いが国内に飛び火してこようとしています。キリスト教勢力と豊臣家が手を取り、再び戦乱の世が来るのではないかと考える本阿弥光悦は、家康に対して旧教国と新教国との付き合い方について熟考するよう進言します。

一方、松平忠輝に仕える大久保長安は、世界に乗り出し、金の採掘を夢見ており、伊達政宗を味方につけようとしていました。大久保長安は、松平忠輝を盟主とする連判状を作成しますが、これが、後々、大きな災いとなっていきます。

大坂城の豊臣家では、秀頼が成長し、16歳を迎えようとしていました。豊臣と徳川の間では、秀頼が16歳になった時に政権を豊臣に返上する約束が交わされていましたが、そう簡単にその約束を実行できるものではありません。数多ある大名家の一つにすぎなくなった豊臣が、天下を治めることは不可能であり、それをわかっている豊臣方でもありましたが、話はそう簡単に進みません。

そこで、家康は、再び上洛し秀頼と面会することを決意します。その準備として、阿江与の方が常高院に手紙を認め、常高院が、家康上洛前に淀君と面会するように計画します。

淀君、常高院、阿江与の方は、浅井長政の娘であり、徳川と豊臣の関係維持に三姉妹の働きが期待されますが、その話は第22巻へ続きます。

徳川家康(21)-山岡荘八
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