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明治天皇(1)

外国船が頻繁に日本近海に現れるようになり、国内は騒がしくなってきました。孝明天皇が海外防禦の勅諭を幕府に下すと、勤皇家たちの活動が活発になり、田中河内介も、彼らとの接触が増えていきました。そんな時、皇子が誕生し、人々に大きな気力を与えたのでした。
 
 

主な登場人物

あらすじ

夷人船が日本近海にたびたび出没するようになり、国内は次第にざわつき始め、孝明天皇は、幕府に海外防禦の勅諭を下しました。

大権を徳川幕府に委任して二百数十年、禁裏は一度も口出しをしてこなかったことから、孝明天皇の勅諭は波紋を広げます。

その頃、中山慶子が入内することが決まり、田中河内介は、蓮月尼(大田垣蓮月)のもとへ金策に出向いていました。孝明天皇には、子がいましたが、いずれも早世しており、慶子姫が入内すれば、きっと元気な子が生まれると期待されていました。

孝明天皇の勅諭は、勤皇家たちに大きな刺激を与えました。蓮月尼や田中河内介のもとには、今村文吾や佐久良東男らが訪れ、この国の行く末を論じていきます。

そんな時、慶子姫が懐妊します。田中河内介は、皇子が生まれることを祈願し、そして、彼の願い通り、皇子が誕生したのでした。

読後の感想

明治天皇を主人公にした作品です。

時は、まだ黒船が来航する少し前。明治維新は、黒船来航により国内が騒然となったことがきっかけで成し遂げられたとされています。しかし、黒船が来航する以前から、日本近海には、多くの外国船がたびたび現れており、人々は不安に思っていました。

尊王攘夷が叫ばれるようになったのも、黒船来航からと思われがちです。しかし、それも違っており、黒船来航の3年前に孝明天皇が海外防禦の勅諭を幕府に下した頃から、勤皇家たちの活動が活発になっていきました。

江戸幕府が始まって以来、天皇が政治に口を挟むことはありませんでした。孝明天皇の勅諭は、二百数十年、政治に関わらなかった天皇が腰を上げたということで、勤皇家たちに刺激を与えたのです。

第1巻では、公卿の家来である田中河内介を中心に物語が進んでいきます。当時の天皇や公家たちは、貧しい生活をしており、朝廷の儀式を執り行うのにさえ資金が不足するような状況でした。中山慶子が入内する時にお金に困り、田中河内介が必死に金策する様が当時の朝廷の窮乏ぶりをうかがわせます。

明治天皇の登場は、第1巻ではほぼないと言えます。でも、田中河内介やその他の公卿公家らが、皇子の誕生で時代が大きく変わることを期待する姿が、明治天皇の存在感を際立たせています。

 
 
明治天皇(1)-山岡荘八
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