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高杉晋作(3)

御殿山の英国公使館の焼き討ち、孝明天皇の賀茂行幸での徳川家茂に対する暴言。高杉晋作の志士としての過激な活動が始まります。攘夷を実行し、米、仏、英、蘭の四ヵ国に反撃を受け、大きな打撃を被った長州藩。その危機を救ったのは高杉晋作の奇想天外な言動でした。シリーズ完結編。

主な登場人物

あらすじ

文久2年(1682年)11月。高杉晋作は久坂玄瑞(くさかげんずい)らとともに尊王攘夷を実行するための御楯組を結成します。そして、12月に御楯組と共に御殿山の英国公使館を焼き討ちしました。

その後も関所破りをするなど、晋作の行動はさらに過激さを増していきます。文久3年3月の孝明天皇の賀茂行幸では、徳川家茂に対して沿道から暴言を吐きました。後に頭を丸めて出家した晋作は、東行と名乗るようになります。

国内外に多くの敵を作った長州藩は、遂に危機に陥ります。特に米、仏、英、蘭の四ヵ国との戦争で惨敗を喫した長州藩は、莫大な賠償金の請求と彦島の租借を突きつけられ、万事休すかと思われました。

しかし、藩を代表してイギリスとの講和条約に臨んだ晋作の奇想天外な言動により、賠償金の支払いからも彦島の租借からも免れることに成功します。

ところが、晋作は藩内の攘夷派から命を狙われ、藩外に逃亡しました。再び長州藩に危機が訪れると、晋作は藩を危機から救いますが、彼の命の灯は残りわずかとなっていたのでした。

読後の感想

高杉晋作の完結編です。

志士として目覚めた高杉晋作が、過激な活動を開始します。しかし、その過激な活動には幕府の権威を失墜させ倒幕へと突き進む狙いがありました。

ただ過激なだけでは真の志士とは言えません。目的があってこそ志士なのです。しかし、晋作の活動は彼が思い描いたこととは反対の方向へと進んでしまうのですが。

3巻で最も読みごたえがあるのは、米、仏、英、蘭の四ヵ国との講和条約でしょう。もしも、晋作が彦島の租借を英国に認めていたら、その後の日本は列強の植民地支配を受けていたかもしれません。それを阻止しなければならないという晋作の強い思いが伝わってきますね。

高杉晋作は、第2次長州征伐でも大活躍するのですが、その部分は、この小説では割愛されています。第2次長州征伐の描写を期待して読むと残念な気持ちになるかもしれません。でも、この作品では、それが余計な描写になりそうなので、むしろ割愛した方が良かったのではないでしょうか。

その分、晋作の晩年について多く描写されています。風雲児高杉晋作の最期は、彼らしいとも言えますし彼らしくないとも言えますね。

高杉晋作(3)-山岡荘八
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