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時代小説の魅力

時代小説の魅力。それは、その時の流行り廃りとは関係なく作品を楽しめること。どんなに古い作品でも、色褪せることがないのは、歴史の世界を再現しようとする書き手の創作意欲が伝わってくるから。史実に忠実であろうとする歴史小説、フィクションを織り込んだ作品、どれも作家の特徴が出て味わい深いのが時代小説の魅力です。

最近読んだ時代小説

闇の通い路-永井路子
小鹿島公業と美作朝親の内室の不倫を下人の鶴五と恋人のなぎさの視点で描いた「闇の通い路」、千里耳を持つ畠山重忠がひょんなことから三浦勢と戦う初陣を描いた「重忠初陣」、鎌倉幕府創立当初の御家人間の勢力争いに巻き込まれていく仁田忠常を描いた「猪に乗った男」など、平安時代末期から鎌倉時代にかけての短編8作品を収録。
美貌の女帝-永井路子
蘇我倉山田石川麻呂の血をひく氷高は、母の阿閉皇女に連れられ、山田寺に参拝し、見事な塔を目にしました。持統天皇の下で頭角を現す藤原不比等。その野望から蘇我倉山田石川麻呂の血を守ろうとする阿閉皇女。氷高は元正天皇となり、母の志を受け継ぐのでした。
額田女王-井上靖
中大兄皇子が蘇我入鹿を斬って新政府を樹立した頃。額田女王は、大海人皇子の誘いを受け十市皇女を宿します。しかし、中大兄皇子が大海人皇子に額田女王を所望したことから、彼女は中大兄皇子の妃になるのでした。
紅蓮の女王-黒岩重吾
蘇我馬子が仏塔を建てたことを快く思わない物部守屋は、敏達大王の許可を得て仏塔を焼き払います。蘇我馬子は、炊屋姫を崇仏派に取り込み、敏達大王亡き後、物部守屋を倒して実権を握るために動き出すのでした。
崇峻天皇暗殺事件-豊田有恒
蝦夷の行列が大和にやって来たのを見に行った厩戸の王子と兄の多米の王子。蝦夷は、東国から持ってきた品々を宮殿へと運び込んでいきます。その蝦夷の大酋長が倉橋の大王のもとに近づこうとした瞬間、東漢の駒が大王を刺殺。ここから、謎の連続殺人が始まるのでした。
天平の甍-井上靖
戒師を日本に招くため、普照と栄叡は、遣唐船に乗り込みます。唐に到着した普照たちは様々な名所仏蹟を訪ね歩きます。ある日、普照は、数十年この地で経論を写している業行と出会い、大きな影響を受けるのでした。
裸足の皇女-永井路子
壬申の乱に巻き込まれていく山辺皇女を描いた「裸足の皇女」、大伴坂上郎女の恋愛遍歴を描いた「恋の奴」、狭野弟上娘子と中臣宅守との恋を描いた「火の恋」など日本の古代を題材にした9作品を収録。
噂の皇子-永井路子
三条天皇の第一皇子敦明を主人公にした「噂の皇子」、和泉式部の恋愛遍歴を描いた「桜子日記」、平将門と関係がある祈祷師に会いに行った僧を描いた「風の僧」、源義経と山下義経の奇病なつながりを描いた「二人の義経」など8作品を収録。
陰陽師 龍笛ノ巻-夢枕獏
謎の腫れ物を治した謎の老人が登場する「怪蛇」、三角関係のもつれから恐怖体験をすることに男を描いた「首」、娘がかわいがる毛虫が子牛ほどの大きさまで育った「むすめづる姫」など5作品を収録。
陰陽師 生成り姫-夢枕獏
源博雅が12年前に出会った姫と再会します。姫は、近々行われる相撲の節会で、方術を使って海恒世が真髪成村に負けるよう、安倍晴明に頼んで欲しいと博雅に懇願します。それを聴いた晴明は、姫の願い通り海恒世を負けさせるのか。