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時代小説の魅力

時代小説の魅力。それは、その時の流行り廃りとは関係なく作品を楽しめること。どんなに古い作品でも、色褪せることがないのは、歴史の世界を再現しようとする書き手の創作意欲が伝わってくるから。史実に忠実であろうとする歴史小説、フィクションを織り込んだ作品、どれも作家の特徴が出て味わい深いのが時代小説の魅力です。

最近読んだ時代小説

峠の群像(3)-堺屋太一
幕府は、徳川綱吉の生母桂昌院の昇位のため、江戸城に勅使を迎えることを決定します。柳沢保明は、勅使饗応役の経験がある浅野内匠頭を今回も同役に任じます。しかし、二度も勅使饗応役を任されることになった浅野内匠頭は、吉良上野介の嫌がらせだと誤解するのでした。
峠の群像(2)-堺屋太一
幕府財政の建て直しのため、荻原重秀が柳沢保明に貨幣改鋳を献策します。貨幣改鋳は、物価高を招き、赤穂藩も新浜造営の費用捻出に苦慮します。赤穂藩の浜子たちも物価高で生活が苦しくなるものの、財政悪化のため、彼らの賃銀引き上げをできないのでした。
峠の群像(1)-堺屋太一
財政難にあえぐ赤穂藩。年々、借金は膨らみ、その利払いも大きくなる中、大野九郎兵衛に仕える石野七郎次が、赤穂の特産品である塩に活路を見出します。ところが、水谷家の取り潰しによる松山城の接収を命じられた赤穂藩は、大きな出費を余儀なくされるのでした。
隼別王子の叛乱-田辺聖子
弟たちを死に追いやり大王となった大鷦鷯のやり方に不満を持つ隼別の王子。その不満は、大鷦鷯の大王が彼の恋人女鳥の姫をさらったことで叛乱という形で表に現れます。叛乱の最中、隼別の王子と合流した女鳥の姫。古墳時代の悲しき恋物語が始まります。
陰陽師 太極ノ巻-夢枕獏
平実盛がかかった奇病「猿叫」の謎を解決する「鬼小槌」、鬼に追われ怯える平重清を助ける「東国より上る人、鬼にあうこと」、道観に入って魂を奪われたようになった紀道孝と橘秀時の謎に迫る「覚」など6作品を収録。
大悲の海に 覚鑁上人伝-津本陽
伊佐平治兼元の三男として産まれた弥千歳は、父より偉い人がいるのかを兄に尋ね、この世で大日如来が最も偉いことを知ります。出家を決意した弥千歳は、仁和寺寛助の下で修業した後、覚鑁となってさらに仏教を極める修行に打ち込むのでした。興教大師覚鑁の生涯を描いた長編。
闇の通い路-永井路子
小鹿島公業と美作朝親の内室の不倫を下人の鶴五と恋人のなぎさの視点で描いた「闇の通い路」、千里耳を持つ畠山重忠がひょんなことから三浦勢と戦う初陣を描いた「重忠初陣」、鎌倉幕府創立当初の御家人間の勢力争いに巻き込まれていく仁田忠常を描いた「猪に乗った男」など、平安時代末期から鎌倉時代にかけての短編8作品を収録。
美貌の女帝-永井路子
蘇我倉山田石川麻呂の血をひく氷高は、母の阿閉皇女に連れられ、山田寺に参拝し、見事な塔を目にしました。持統天皇の下で頭角を現す藤原不比等。その野望から蘇我倉山田石川麻呂の血を守ろうとする阿閉皇女。氷高は元正天皇となり、母の志を受け継ぐのでした。
額田女王-井上靖
中大兄皇子が蘇我入鹿を斬って新政府を樹立した頃。額田女王は、大海人皇子の誘いを受け十市皇女を宿します。しかし、中大兄皇子が大海人皇子に額田女王を所望したことから、彼女は中大兄皇子の妃になるのでした。
紅蓮の女王-黒岩重吾
蘇我馬子が仏塔を建てたことを快く思わない物部守屋は、敏達大王の許可を得て仏塔を焼き払います。蘇我馬子は、炊屋姫を崇仏派に取り込み、敏達大王亡き後、物部守屋を倒して実権を握るために動き出すのでした。