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明治天皇(3)

日米和親条約の調印直後、京都では内裏が火災に遭います。幕府はすぐに内裏の再建に着手し、諸藩も協力しました。アメリカからハリスが総領事として神奈川に着任すると、幕府に通商条約を迫ります。世界情勢を鑑みると通商条約の締結は日本にとってやむを得ないことと考えた幕府は、勅許を得ようとしましたが、朝廷はこれを拒否するのでした。
 
 

主な登場人物

あらすじ

幕府が日米和親条約の調印を正式に朝廷に奏上した直後、内裏が火災に遭いました。

勅許を得ないで条約を調印したことに引け目を感じていた幕府は、ただちに内裏の再建に取り掛かります。これが諸藩の尊皇心を高めることとなり、長州や薩摩などが内裏再建に協力しました。

孝明天皇は、この火災で仮の御所を桂宮に移すことになりましたが、祐宮(明治天皇)は、再び中山家に戻り、すくすくと育っていきました。

安政3年(1856年)にアメリカ総領事ハリスは、神奈川に着任すると、13代将軍徳川家定に謁見しました。その頃、イギリスは清との戦いに勝利し、日本への進出を目論んでいました。ハリスは、そのことを幕府に伝え、今のうちに日米通商条約を結んでおくことが日本にとって得策だと告げます。

幕閣の岩瀬忠震と川路聖謨は、ハリスの言うように通商条約を結ぶべきだと考え、老中の堀田正睦も同意し、開国の勅許を得るために上洛しました。しかし、朝廷はアメリカの脅しに屈して通商条約を結ぶべきではないと反対し、もう一度衆議を尽くすよう促します。さらに朝廷は、徳川家定の次の将軍を英邁な一橋慶喜にするよう要求し、開国すべきかどうかという問題に将軍継嗣問題も絡んでくるのでした。

読後の感想

明治天皇の第3巻です。

第3巻では、日米修好通商条約に調印すべきかどうかが読みどころとなっています。

幕府の視点から、アメリカ総領事ハリスと幕府の交渉、そして、幕府と朝廷との交渉が描かれています。ハリスが幕府に通商条約を結ばせようとした意図は、清国との戦争で勝利したイギリスやフランスが日本に矛先を向けてくるのを警戒したからだと考えられます。

そこでハリスは、最初に日米通商条約を結んでおけば、それが前例となり、他国と通商条約を結ばなければならなくなったとしても、アメリカよりも条件が厳しい条約を要求できないだろうと幕閣に提案しました。

幕府では、岩瀬忠震と川路聖謨がハリスの言うように開国すべきだと考えており、老中の堀田正睦も同じ考え方でした。しかし、朝廷はアメリカに脅される形での条約調印は認めないとして、幕府に勅許を出しませんでした。さらに国難を乗り切るためには、次期将軍には、英邁な一橋慶喜を就けるように要求します。

簡単に勅許を得られると考えていた堀田正睦にとって朝廷の態度は大きな誤算でした。しかし、イギリスやフランスが軍艦を率いて日本近海に迫っている以上、日米通商条約の先延ばしは日本の立場を不利にするだけです。そこで、勅許を得ずに日米通商条約を結ぶことになったのですが、これが堀田正睦らの失脚につながっていきます。

 
 
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