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徳川家康(13)

天下統一を目前に控えた豊臣秀吉は、北野大茶会を開き、身分の別なく茶を楽しむ機会を設けました。一方、小田原の北条は、再三にわたる秀吉の上洛の命に従わず軍備を整えていました。のらりくらりと時間を稼ごうとする北条。その北条を説得する家康。しかし、家康の説得の甲斐なく、小田原は秀吉の大軍に攻め込まれるのでした。

主な登場人物

あらすじ

家康に人質同然で嫁いだ朝日御前を京都に戻すため、豊臣秀吉の使者が彼女のもとに訪れます。しかし、朝日御前は、秀忠の義母となったこともあり、京都に戻ることを断りました。

一方、京都では、秀吉が大茶会の開催を進めていました。身分の別なく参加できる大茶会を開催する裏には、刀狩を行いやすくし、戦のない世を作ろうとする秀吉の考えがありました。

また、この頃、茶々が懐妊し、秀吉は何もかもを手に入れたような絶頂の時を迎えていました。

秀吉の天下統一が目前に迫る中、関東の北条は、彼の上洛の命を受け入れず小田原城で一戦交える準備を進めます。家康は、北条氏政に上洛を勧めるも、一向にその気配を見せません。

そして、ついに秀吉は小田原征伐を決意し、大軍勢を率いて東に向かうのでした。

読後の感想

第13巻では、豊臣秀吉の小田原征伐が行われます。これにより、天下は秀吉によって統一されます。

秀吉の天下統一の裏で、彼の妹の朝日姫の不幸な後半生が描かれています。秀吉の命により、佐治日向守と離別し、家康に嫁がされた朝日姫にとって、ただ一つの幸せは、秀忠の義母となり、彼の成長を見届けることだけでした。しかし、その願いも叶わず、朝日姫はその生涯を終えます。戦国時代は、多くの女性が悲劇を演じましたが、朝日姫もまたその一人です。

小田原の北条を征伐した秀吉は、ついに天下統一を果たしましたが、一方で、家康の存在が大きくなっていくことに不安を感じていました。そのため、小田原征伐後、秀吉は家康を関東に移封させ、さらに上方と徳川との間に豊臣方の武将を配置し、家康を牽制する構えを見せます。

これに対し、徳川家中では、秀吉に対する不満が湧き上がりましたが、家康は、むしろ関東への移封を好機と捉えます。父祖代々受け継いできた三河を捨て関東に移ることで、秀吉の朝鮮出兵に加われない口実とすることが家康の狙いでした。

豊臣秀吉の天下統一を見た家康は、そのやり方では豊臣政権は長く続かないと見ていました。大きな褒美を家臣に与える秀吉のやり方では、欲得だけで動く者しか集まって来ないことに気づいた家康は、関東に移っても、家臣に多くの土地を分け与えないことを誓います。

徳川260年の世は、この時の家康の誓いによって築かれたのでしょう。

また、第13巻では、秀吉と千利休の関係も悪化していきます。二人の意地の張り合いが、やがて二人の関係を修復できないものとしていきました。

徳川家康(13)-山岡荘八
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