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徳川家康(25)

大野治房の郡山焼き討ちにより、大坂夏の陣が始まりました。勝つ戦とわかっていることから士気が上がらない東軍に対し、大坂方は、決死の戦を仕掛けます。しかし、大坂方の諸将が次々と討ち死にし、大坂城は落城の時を迎えようとしていました。家康は、亡き秀吉との約束通り、秀頼の命を助けようと動き出します。

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主な登場人物

あらすじ

東西の和睦で終結した大坂冬の陣でしたが、再び、大坂方の大野治房が郡山に放火したことから、大坂夏の陣が始まりました。

後藤基次、木村重成ら有力武将が次々と討ち死にしていく大坂方は、真田幸村や毛利勝永が最後の戦いを挑もうとしていました。これに対し、東軍は、勝つ戦とわかっているため諸将の士気は上がらず、その中でも、伊達政宗と松平忠輝は、戦う気をほとんど見せません。

しかし、松平忠直の奮戦もあり、大坂城はついに落城の時を迎えようとしていました。

城に火が放たれると、淀君と豊臣秀頼らは芦田曲輪に逃れましたが、その途中、千姫は2人の助命嘆願のため、東軍の陣へと向かいます。

家康は、亡き豊臣秀吉との約束通り、淀君と秀頼の命を助けるつもりでいました。しかし、秀忠の家臣たちは、謀反人を生かすべきではないと考えており、大坂方の使者速水守久と強硬な姿勢で面会します。

両者の話し合いが終わり、速水守久が芦田曲輪に戻ると、東軍は鉄砲を放ち大坂方を威嚇します。そして、発砲が続く中、芦田曲輪から煙が上がり始めるのでした。

読後の感想

第25巻は、大坂夏の陣を中心に描かれています。

本作では、大坂の陣は、戦のない世を築こうとする家康の気持ちを察することができなかった大坂方によって始められた戦として物語が進んでいきます。

家康と異なり、真田幸村は、この世から戦がなくなることはないと信じ、それを家康に知らしめるため大坂方に味方し討ち死にしていきます。

家康は、最後の最後まで、淀君と秀頼の命を助けようと考えており、そのために事前に柳生宗矩に2人を助け出すよう命じていました。そこで、大坂城に潜入していたのが奥原信十郎豊政でした。奥原信十郎は架空の人物ですが、彼が登場することで、家康の淀君と秀頼を助けようとする思いの強さが読者に伝わってきます。

大坂夏の陣が終わり、豊臣家が滅亡したことで、泰平の世が訪れたかに見えましたが、家康の前にまだ難題が待ち構えていました。それは、伊達政宗と我が子松平忠輝の存在でした。

隙があれば天下を我が物にしようとする野心を捨てきれない伊達政宗。その娘婿の松平忠輝。2人の扱い次第では、再び乱世に逆戻りする危険がありました。

松平忠輝の処分を巡って、家康と秀忠が激論を交わす場面も本巻の読みどころの一つです。

徳川家康(25)-山岡荘八
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