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徳川家康(8)

織田信長は、長年の働きをねぎらうため、家康を安土に招きました。しかし、その接待役に任命された明智光秀と信長との関係は次第に悪くなっていきます。光秀は、信長に対して疑心暗鬼となり、ついに本能寺の変を起こしました。その頃、堺にいた家康にも命の危険が迫るのでした。

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主な登場人物

あらすじ

武田を滅ぼし、安土に凱旋した織田信長は、これまでの家康の働きをねぎらうため、安土に招くことにしました。そして、その接待を明智光秀に命じます。

しかし、織田信長と明智光秀との間で接待に対する考え方に相違が出始め、次第に両者の仲が険悪になっていきました。

そのような状況でも、家康の接待は順調に行われていましたが、信長が羽柴秀吉の中国攻めに明智光秀を加勢に向かわせるため、接待役を解くことを決定すると、明智家中で信長に対する不満が噴出します。

また、明智光秀も、最近の信長が自分に厳しく当たることに疑心暗鬼となっており、このままでは信長に使い捨てにされるのではないかとの不安が大きくなっていました。

そして、ついに光秀は、主君信長を討つ決意をし、本能寺に向かいました。

その頃、堺見物をしていた家康は、本能寺の変事を知ります。三方ヶ原の戦い以来の窮地に立たされた家康は、三河に戻るため、伊賀越えを決意するのでした。

読後の感想

第8巻では、明智光秀が織田信長を討つ本能寺の変が起こります。

明智光秀が信長を討った理由は、様々語られています。その中でも、歴史小説では、光秀が信長の辛い仕打ちに耐えかねて、本能寺の変を起こしたと描かれることが多いです。

本作も、そのような展開になっていきそうな雰囲気はありましたが、違う描かれ方をしています。

一言で言えば、光秀の誤解です。家康の接待で、光秀と信長の意見が食い違いますが、信長は光秀を困らせようとしたのではありませんでした。しかし、光秀が、信長の真意を深読みしすぎたがために悲劇へと向かっていきます。

本能寺の変を知った家康は、身の危険に気づき堺から三河に戻ろうとしますが、その道中は落ち武者狩りに命を狙われる厳しいものでした。しかし、この時の経験が後の家康の政治思想に大きな影響を与えることになります。

世にいう伊賀超えで、家康は民の声を聞くことができ、戦のない世を築くためにはどうしたら良いか、その考えがまとめられていきます。

第8巻の後半では、秀吉の中国大返しから山崎の戦いまでが描かれています。この時の秀吉と光秀の心境の違いも、本巻の読みどころです。

徳川家康(8)-山岡荘八
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