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関ヶ原(上)

関ヶ原の戦いを題材にした作品です。秀吉亡きあと、豊臣家を守ろうとする石田三成と天下を奪おうとする徳川家康の頭脳戦が繰り広げられます。加藤清正ら秀吉子飼いの大名を味方に引き入れる家康。石田三成の正義の戦いの幕開けです。

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主な登場人物

あらすじ

豊臣秀吉が、鷹狩りの際に立ち寄った寺で茶を所望すると、佐吉と名乗る少年が、大きな茶碗に入れたぬるい茶を差し出しました。

「さらに、一ぷく」と秀吉が命じると、佐吉は、やや熱い茶を差し出します。それを飲み終えて、さらに一服、と命じると、佐吉は焼けるほど熱い茶を差し出しました。

(この児佳し)と思った秀吉は、佐吉を召し抱えることにしました。この佐吉こそが、石田三成です。

秀吉に仕えることになった三成は、近江水口(みなくち)に4万石を与えられ大名となり、1万5千石で筒井家の牢人であった島左近を家臣に迎えました。

慶長3年(1598年)8月18日の夜。秀吉が63歳でこの世を去り、世の中は騒然とし始めます。三成は朝鮮に出兵していた加藤清正らの諸将をすぐに呼び戻しました。しかし、彼らは三成のことを良く思っておらず、やがて徳川家康に接近し始め、家康も彼らを利用して天下を狙い始めます。

大坂の石田三成と伏見の徳川家康の関係が悪化するのを危惧した前田利家は、自ら伏見に赴き家康の説得を試みます。その場は何事もなく収まりましたが、慶長4年閏3月3日に前田利家が62歳で亡くなると、両者の関係はますます不穏なものとなりました。

前田利家の死後、すぐに加藤清正ら7人が三成を襲撃するという噂が流れました。彼らと戦うか迷っていた三成に対し島左近は大坂から逃れることを進言し、これを受け入れた三成は伏見の徳川家康を頼るのでした。

読後の感想

石田三成を主人公にした作品です。

上巻では、豊臣家のために働く石田三成と、天下を奪い取ろうとする徳川家康の頭脳戦が見どころです。一般的に石田三成は、頭が固く人の心が読めない人物とされています。「関ヶ原」でも、そのような三成像で描かれていますが、この時代には珍しく正義のために戦った武将としても描かれています。

対して、徳川家康は、人の心が読めるずるがしこい老人として描かれています。その老獪なやり方に子供の頃から秀吉に可愛がられてきた加藤清正たちは、ころっと騙され、豊臣家を危機に追い込んでいきます。

加藤清正や福島正則がもっと思慮深く、私的な感情だけで動かなければ、豊臣家の未来は違ったものになっていたでしょうね。

関ヶ原(上)-司馬遼太郎
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