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峠(上)

安政の大獄で世の中が騒然とする中、越後長岡藩士の河井継之助が江戸に遊学しました。しかし、継之助は学問には興味を示さず吉原通いの日々を続けます。そんな中、福地源一郎とともに訪れた横浜でスイス人のファブルブランドと出会い、継之助は、封建制の限界に気づくのでした。
 
 

主な登場人物

あらすじ

安政5年(1858年)。大老の井伊直弼が安政の大獄を行う中、越後長岡藩の河井継之助は、幕府が衰退することを予感し、江戸に出ること、そして諸国遊学することを藩に願い出ます。

江戸に出た継之助は、古賀謹一郎の久敬舎に入塾したものの、学問はせず、吉原通いばかりしていました。そんな時、品川にロシアの艦隊が現れ、幕府に樺太をロシアに引き渡すよう要求する事件が起こります。

幕府は、諸藩に横浜の警備を命じ、長岡藩も任務に就くことになり、継之助はその大将として出陣することになりました。しかし、継之助は、警備に行かず品川の遊郭で時を過ごします。

これを知った藩の閣僚は継之助を処分しようとしますが、彼が藩財政を守るために出陣しなかったと言ったことから、軽い処分で済ませることにしました。

その後、継之助は福地源一郎とともに横浜を訪れ、スイス人のファブルブランドと出会います。ファブルブランドの話に感化された継之助は、封建制が抱える問題を悟り、これからは産業が支配する時代になると予感しました。

江戸での生活に飽きた継之助は、備中松山の山田方谷に弟子入りするために旅に出ます。その途中、京で、織部という女性に出会うのでした。

読後の感想

幕末の越後長岡藩士河井継之助を主人公にした作品です。

この時代の人物としては知名度が低いですが、先見性があり、後に戊辰戦争で長岡藩を背負って官軍と戦うことになります。

上巻では、諸国を遊学し、これからの日本がどうなっていくのか、そして、自分は長岡藩でどのような働きをすべきかを思考する河井継之助が主に描かれています。まだ、この時期の継之助は世間に知られるような存在ではありませんでしたが、長岡藩では変わり者として有名になっていました。

江戸に出た継之助の生活は、吉原通いが主だったと言っても過言ではなく、上巻の多くの紙数が継之助の女性遍歴に費やされています。吉原で馴染みとなった小稲、京都で出会った織部。安政の大獄で世の中が騒然とし風雲急を告げる中、遊学中の継之助が出会った女性たちと過ごす場面は、ゆっくりと時間が流れているような感覚を読者に与えます。

本作に登場する河井継之助は、非常に合理的な思考をします。学問のための学問を嫌い、必要なことだけを学び、知識を身に着けようとはしません。世の中が変化していく中、長岡藩を存続させるため、自分がしなければならないことは、いつでも長岡藩を背負って立つ姿勢を崩さないこと。物語が始まってから、一貫して継之助の考え方は変わりません。

桜田門外の変、京都での天誅騒ぎ、池田屋事件と激動の時代を迎え、藩主牧野忠恭が、京都所司代、老中となりますが、継之助は長岡藩が幕府とともに瓦解するのを避けるため、いずれも辞任するよう説得します。

いよいよ、継之助が表舞台に登場します。

 
 
峠(上)-司馬遼太郎
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