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義経(上)

鞍馬寺に預けられ遮那王と名を変えた義経は、鎌田正近と出会い、自分が源義朝の子であることを知ります。鞍馬山を抜け出した義経は、奥州平泉の藤原秀衡を頼り、やがて成人します。伊豆で流人生活を続けていた兄頼朝が平家追討のために挙兵したことを知った義経は、頼朝のもとへ駆けつけるため、平泉を去るのでした。
 
 

主な登場人物

あらすじ

都の一条坊門のあたりに一条長成が住んでいました。長成は、平清盛から源義朝の妻であった常盤御前を貰い受け、その子の牛若(源義経)と共に暮らしています。

牛若は、平家に負けた源義朝の子であるため、いつまでも都暮らしは許されず、やがて鞍馬寺に預けられることになりました。

その頃、都では、源義朝に仕えていた鎌田正近が、四条の聖となり潜伏していました。正近は、ある日、常盤御前と会い、牛若が鞍馬山にいることを知らされました。

鞍馬寺に入った牛若は、遮那王と名を変えていましたが、いつまで経っても仏門に入らずにいます。ある時、正近が遮那王に会いに鞍馬山にやって来ました。そして、正近は、遮那王が源義朝の子であることを告げました。

遮那王は、鞍馬山を抜ける決心をし、奥州の商人金売吉次と共に藤原秀衡がいる平泉を目指すことにしました。その途中、遮那王は元服し、九郎義経と名を改めます。

義経が奥州平泉にいる間、兄の頼朝は伊豆で流人暮らしを続けていました。長い流人生活の中、以仁王の令旨を持った源行家が訪れます。行家は、源頼政と以仁王が平家打倒のために起ち上がったことを伝え、頼朝も平家を倒すために起ち上がることを促しました。

挙兵した頼朝は、石橋山で敗れはしたものの、富士川で平家に戦わずして勝ちます。

兄頼朝の挙兵を知った義経は、伊勢義盛とともに奥州平泉を抜け出しました。そして、黄瀬川で頼朝と面会します。

義経の来訪を喜ぶ頼朝。しかし、北条氏や他の豪族の力を借りて挙兵した頼朝は、義経を特別扱いすることはできず、2人の間には、少しずつ溝ができていくのでした。

読後の感想

源義経を主人公にした作品です。上巻では、義経の生い立ちから木曽義仲の上洛までが描かれています。

鞍馬山を抜け出した義経は、妥当平家を目標に生きていきます。義経の生きる目標は、それだけだったかもしれません。

彼が、目標達成のために生きていくには、近親との血のつながりも大切でした。平家を倒すことが亡き父の仇討であれば、血のつながりこそが目標達成には重要であり、それこそが若き義経が信じられる唯一のものだったのかもしれません。

ところが、源氏の嫡男である兄頼朝は、義経とは考え方が異なっていました。源氏政権を立ち上げるためには、諸豪族の力を借りなければなりません。流人の頼朝にとって、それはどうしようもない現実でした。

血のつながりだけでは、諸豪族をまとめられないことを理解していた頼朝は、弟だからと言って義経を優遇することはしません。義経もまた、頼朝の御家人の一人でしかなかったのです。

この両者の考え方の違いが、やがて義経の滅亡へとつながっていきます。

 
 
義経(上)-司馬遼太郎
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