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世に棲む日日(3)

高杉晋作の英国公使館の焼き討ち、下関を通過する外国船への砲撃。英米仏蘭の四カ国艦隊を敵に回し苦境に立たされた長州藩をさらに幕府の征討が追い打ちをかけます。藩を救うために起ちあがった晋作、井上聞多、伊藤俊輔の3人でしたが。

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主な登場人物

あらすじ

上海で西洋文明の発展を目の当たりにした高杉晋作は江戸にいました。西洋諸国との力の違いを理解した晋作でしたが、その行動は徹底した攘夷。

井上聞多(井上馨)や伊藤俊輔(伊藤博文)らとともに御殿山の英国公使館を焼き討ちし、江戸を離れるときには白昼堂々と箱根の関所を破る暴挙に出ました。

文久3年(1863年)5月10日。長州藩は下関を通過する外国船に砲撃し攘夷を開始します。しかし、アメリカ軍艦の復讐に遭い敗北。さらに8月18日には京都から追放されました。

翌元治元年7月17日に来島又兵衛らが長州藩兵を率いて上洛しましたが、薩摩藩や会津藩によって返り討ちに遭います。また、英、米、仏、蘭の四カ国連合艦隊に下関が砲撃され、長州藩は、国内外を相手に苦しい状況に追い込まれていきました。

この状況から長州藩を救ったのが、高杉晋作、井上聞多、伊藤俊輔でした。しかし、情勢は彼らに味方せず、晋作はいったん長州藩から去るのでした。

読後の感想

激動の時代に突入する長州藩。その原因を作ったのは「狂」の思想を持って行動する高杉晋作でした。

晋作は、当時では考えられないような行動を次々にしていき、幕府や長州藩内から目を付けられます。しかし、この晋作の暴挙が長州藩を長い泰平の眠りから目覚めさせます。

3巻で重要な役割を演じるのが井上聞多です。彼は、藩から預かった大切な資金を遊興に使ったり、藩主の前で発狂するなど、読者を冷や冷やとさせます。それはある意味、高杉晋作以上かもしれません。しかし、彼のこういった行動と親友の伊藤俊輔の働きによって長州藩は滅びずに済み、それどころか明治維新に重大な役割を果たしていきます。

3巻で最も読みごたえがあるのが、高杉晋作とイギリスのクーパー提督との交渉です。晋作がもしも上海に渡航していなければ、まともに外国と交渉できなかったでしょう。

ヨーロッパに留学した井上聞多と伊藤俊輔の働きも見逃せません。

世に棲む日日(3)-司馬遼太郎
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