坂の上の雲(1)
伊予松山の貧しい秋山家に生まれた好古は、大阪で教師となり、やがて、東京の士官学校に入学し騎兵について学びます。弟の真之と同じ伊予松山出身の正岡子規は、東京大学予備門に通い学問にはげみます。しかし、真之は予備門にはあまり興味を示さず、兄と同じ軍人を目指すのでした。 |
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主な登場人物
あらすじ
安政6年(1859年)。伊予松山で徒士の子として秋山好古は生まれました。そして、明治元年(1868年)に弟の真之が誕生します。
貧しかった秋山家は、真之を寺に預けようとしましたが、好古が勉強してたくさん金を稼ぐから、それだけはやめるように説得し、真之は寺に預けられずに済みました。
大きくなった好古は、大阪に行き教師になります。そして、師範学校にも合格し、好古は、愛知県に行くことになりました。
さらに好古は、士官学校に通うことになり、名古屋から東京に移りました。
その頃、真之は正岡子規とともにに伊予松山で小学校に通っていました。いたずらばかりしていた10歳の真之。その時、兄の好古が帰郷します。随分と大人になっていた好古を見て、真之は怖さを感じました。
明治16年。子規は中学校を中退し、東京大学予備門に入るため東京に行くことになりました。そして、子規を追うように真之もまた東京に向かい、騎兵について学んでいた好古を訪ね、大学予備門を受験することを報告します。
ところが、大学予備門に合格した真之は、好古の安月給から授業料を出してもらっていることが不安になり、大学予備門をやめたいと言い出しました。好古は、真之の話を聞いた後、軍人にならないかと言い、真之はそれに頷くのでした。
読後の感想
秋山好古と真之の兄弟、そして、正岡子規の3人を主人公にした作品です。
3人とも、伊予松山に明治初年前後に生まれました。物語の主題は日露戦争で、松山出身の3人の視点で日露戦争に向かう明治日本が描かれていきます。
明治維新は、薩長土肥が主体となって実現したことから、これら4藩の藩閥によって政治が動かされていました。薩長土肥以外の出身者は学問による立身出世を目指すしかなく、特に明治維新で賊軍となった伊予松山出身者には厳しい時代でした。
第1巻では、3人の青春時代を中心に描いています。好古は、貧しかった秋山家をでて大阪で教師となり、やがて、東京に行き、士官学校で騎兵について学びます。真之と子規は、大学予備門で学問にはげみますが、真之はそこにあまり魅力を感じず、兄好古と同じく軍人の道を選びます。
子規は、大学予備門に通うものの、短歌や俳句に興味を持ち、他の学生のように立身出世のための学問には興味を示しませんでした。
先ほども述べましたが、この作品は日露戦争を主題としていますが、第1巻では、明治という時代を若者がどう生きようとしたのか、興味深く描かれています。軍人と文化人の両者の視点で物語が進んでいくので、程よい緊張と緩和があって読みやすくなっています。
坂の上の雲(1)-司馬遼太郎 |
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