世に棲む日日(1)
幕末、長州藩に思想的に大きな影響を与えた吉田松陰。学問に打ち込む青年が、西洋諸国からの侵略の脅威を知り始め、そして、国防のために奔走し始めます。嘉永6年6月に浦賀にペリーが来航すると、松陰は大それた気持ちを抱くようになります。 |
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主な登場人物
あらすじ
杉百合之助(すぎゆりのすけ)の子の寅次郎は、伯父の大介が亡くなったため、5歳の時に吉田家を継ぎました。これが後の吉田松陰です。
松陰は、父百合之助から初等教育を受けた後、松下村塾で玉木文之進に厳しく教育されます。
その後、藩を挙げて松陰の教育が行われ、18歳の時に山鹿流兵学の独立の師範となり、20歳の時には、平戸へ旅に出、葉山佐内、山鹿万助に学びました。また、肥前熊本では彼の人生に大きな影響を与える宮部鼎蔵(みやべていぞう)と出会います。さらに江戸遊学では、山鹿素行や佐久間象山など何人かの師に学び、また、江帾五郎(えばたごろう)や同藩の来原良蔵といった友人も得ました。
脱藩の罪を犯した後、旅に出た松陰は江戸で佐久間象山から西洋文明について学びます。そんな中、嘉永6年6月3日に浦賀にペリーが来航し、異国の脅威を知った松陰は長崎へと向かい、そこで初めての弟子となる金子重之助と出会うのでした。
読後の感想
幕末の長州藩に思想的に大きな影響を与えた吉田松陰を描いた作品です。
高杉晋作や久坂玄瑞の師として知られる松陰は、人格的に成熟した青年といった印象がありますが、この作品ではそのようには描かれていません。良く言えば純粋、悪く言えば世間知らず。幼い面を残した青年吉田松陰は、これだと思ったら後先見ずに行動し、そして重大な事件を起こしていきます。
現代社会では、きっと吉田松陰は感情を自分で制御できない危険人物と見られるはず。でも、彼のような純粋な青年が異国の侵略に脅威を抱いたからこそ明治維新が実現したのでしょう。
世に棲む日日(1)-司馬遼太郎 |
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