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竜馬がゆく(8)

薩摩藩を中心とした武力討幕が先か、竜馬が画策する大政奉還が先か。二つの異なる倒幕活動が水面下で着々と進んでいきます。明治維新まであと少し。竜馬は新政府の人事を考えるとともに財政にも苦慮しますが、適任者を見つけて乗り切るのでした。

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主な登場人物

あらすじ

京都河原町三条の海援隊本部に入った竜馬。そこへ中岡慎太郎がやってきます。

大政奉還で無血革命を実現しようとする竜馬と薩長を中心に武力討幕を推進する中岡。最初は大政奉還に不信感を持っていた中岡でしたが、竜馬の話を聴くうちに彼も竜馬と同じ考えになっていきます。

土佐藩士の佐佐木三四郎(高行)が藩内を大政奉還案でまとめ、中岡と竜馬が薩摩など他藩の賛同を得るために奔走。

長崎で海援隊が英国人殺害事件の容疑をかけられる中、維新回天のための計画は着実に進行していきます。

そして、慶応3年(1867年)10月13日。15代将軍徳川慶喜が二条城で朝廷に大政を奉還することを諸藩の重役の前で宣言し、江戸幕府は終わりの時を迎えました。

竜馬の仕事はここから忙しくなります。新政府の人事や財政をどうするのか、やらなければならないことが山積する中、竜馬は世界の海援隊を夢想しながら越前へと旅立つのでした。

読後の感想

「竜馬がゆく」の最終巻です。

慶応3年になり時代は急展開します。水面下では薩摩藩と岩倉具視が武力討幕への準備を進め、竜馬は平和裡に幕府を終わらせる大政奉還を実現すべく奔走します。

この頃の竜馬は、京都、大坂、土佐、長崎を短期間の間に何度も移動します。このようなことができたのは、竜馬が軍艦を使ったからです。それまでは、徒歩か馬に乗るくらいしか移動手段はなかったのですが、幕末に軍艦が登場したことで、人々の移動速度は劇的に速くなりました。

10年以上、軍艦を手に入れるために働いてきた竜馬だからこそ、移動手段として軍艦がとても優れた乗り物だということを理解できたのでしょう。もしも、竜馬が軍艦と縁がなければ、大政奉還は実現せず、薩摩藩中心の武力討幕が先に行われていたかもしれません。

この作品に登場する坂本竜馬は、常に動き続けています。やがて死を迎えるのですが、読後も竜馬がいつまでも京都や長崎を駆け回っているような不思議な感覚が残ります。

竜馬がゆく(8)-司馬遼太郎
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