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燃えよ剣(上)

武州で七里研之助と喧嘩をしていた土方歳三は、幕府の浪士募集の報せを受け、近藤勇たちと上洛します。歳三は、近藤を中心に結成された新選組を厳しい規律で支配し、鬼の副長と恐れられる存在になっていきます。池田屋事件や蛤御門の変。新選組は、洛中で武名を轟かせるのでした。
 
 

主な登場人物

あらすじ

試衛館道場に通っていた石田村の百姓歳三は、ある夜、六車宗伯を斬ることに。

この事件を知った甲源一刀流の七里研之助は、六車宗伯の敵を取るため、下手人を歳三と調べ上げ、決闘することになりました。これが歳三と七里研之助の因縁の始まりです。

ある日、山南敬助が近藤勇に幕府が浪士を募集しているとの情報をもたらします。将軍の上洛の護衛のため、浪士組を結成し、その任務にあたらせるというのが目的です。近藤勇は、土方歳三ら試衛館道場の門弟にその話をし、彼らとともに上洛を決心しました。

しかし、浪士組を率いる清河八郎は、上洛するや、江戸に戻り攘夷を決行すると浪士たちの前で演説します。清河の発言に反対の立場であった近藤勇達と芹沢鴨の一派は浪士組を脱退し、会津藩の力を借りて京都で新選組を結成しました。

土方歳三は、新選組で副長となり、隊の規律を厳しくし、隊士たちに鬼の副長と恐れられる存在になっていきます。

3人の局長のうち新見錦を士道に背いたとして切腹に追い込み、素行の悪い芹沢鴨も暗殺して、新選組を近藤勇を中心にまとめ上げます。

元治元年(1864年)6月。歳三は、京都に潜伏している長州系浪士たちが風の強い日に街に火を放って孝明天皇を連れだす計画をくわだてていることを知ります。そして、新選組を2手に分けて池田屋と料亭丹虎へと向かわせました。

歳三が向かった料亭丹虎には浪士はいません。浪士たちは近藤勇率いる隊士たちが向かった池田屋に潜伏しており、そこで激闘が繰り広げられました。

池田屋事件の活躍で新選組は、幕府から褒美をいただき、その名は洛中に響き渡りました。しかし、尊王攘夷のために結成した新選組が、志士たちの弾圧をしていることに耐えられなくなった山南敬助は脱走を決意するのでした。

読後の感想

新選組副長の土方歳三を描いた作品です。土方歳三と言えば「燃えよ剣」だと言う人も多く、現代人の土方歳三像は、本作の土方歳三によって作り上げられてい面があると思います。

「バラガキのトシ」と呼ばれていた若き日の土方歳三は、喧嘩ばかりしており、その時に培った戦術が新選組の運営に活かされていきます。

佐幕か勤王か。世の中は、この2択で動いていましたが、土方歳三は、ただ新選組を強化していくことを目的として乱世を生きていきます。同じように武州時代に喧嘩相手となった七里研之助も、長州系浪士と交わり勤王の道を選びますが、激動の時代に土方歳三の命を狙うことだけに執念を燃やし続けます。

佐幕と勤王で、二人の立場は異なっていますが、生きざまはとても似ています。

物語の進展は、割と早く、新選組を語るに最も大切な池田屋事件もあっという間に終わります。物足りなさを感じる方もいるでしょうが、この展開の早さは読者を飽きさせません。

燃えよ剣では、沖田総司の存在も忘れてはいけません。沖田総司は剣の達人として描かれることが多いのですが、本作では、沖田総司が戦っている場面はあまり描かれていません。それよりも、土方歳三をからかう若者として重要な役を担っており、血なまぐさい幕末物に心が和む瞬間が時折訪れます。

 
 
燃えよ剣(上)-司馬遼太郎
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