HOME > 作家別 > 司馬遼太郎 > 国盗り物語(1)

 

国盗り物語(1)

国主になることを夢見る松波庄九郎は、油問屋の奈良屋の乗っ取りを画策します。奈良屋主人のお万阿の信頼を得た庄九郎は、やがて入り婿となり奈良屋の財産を手に入れます。しかし、国主を夢見る庄九郎は、奈良屋の実権を握るためにある計画を練るのでした。

PR

  1. 時代小説も読み放題-Kindle Unlimited
  2. 1冊でも倒れない ブックスタンド

主な登場人物

あらすじ

御所近くで、「国主になりたいものだ」とつぶやく松波庄九郎。後に蝮の道三と呼ばれた庄九郎は、油問屋の奈良屋の乗っ取りを計画します。

奈良屋を切り盛りするのは、後家のお万阿。奈良屋では、先ごろ荷頭が暗殺されており、庄九郎はその下手人を討ち取って奈良屋のお万阿に接近します。

奈良屋で荷頭になった庄九郎は、牢人を従え荷物を運びます。その途中、荷物を狙う盗賊を追い払った庄九郎は、奈良屋の信頼を得ましたが、お万阿の前から姿を消しました。

お万阿は、庄九郎を探させ、なんとかその居場所を見つけ出します。そして、庄九郎を入り婿にして奈良屋の主人としました。

これで、庄九郎の狙いは達成されたかに思えましたが、さらに奈良屋の実権を握るためにある計画を立てるのでした。

読後の感想

前半は斎藤道三、後半は織田信長を主人公にした作品です。

後に美濃一国を支配した斎藤道三は、元は京都の妙覚寺で法蓮房という名の僧侶をしていました。持つものは何もなく、裸一貫で一国一城の主にのし上がるサクセス・ストーリーが、国盗り物語の前半です。最近では、親子二代で斎藤道三は美濃を手に入れたと言われるようになっていますが、本作は、斎藤道三だけで美濃を手に入れる物語となっています。

油屋から下剋上で土岐氏に取って代わった斎藤道三ですが、そもそも、最初は油屋でもなかったのですから、普通なら国主になることなどは考えもしないことです。

しかし、松波庄九郎と称していた若き日の斎藤道三は、智恵を働かせ、一歩ずつ着実にのし上がっていきます。

妙覚寺で「智恵第一の法蓮房」と呼ばれた庄九郎は、奈良屋のお万阿に接近しますが、こちらから積極的に近づこうとする方法は採りません。お万阿が庄九郎に奈良屋の入り婿になって欲しいと言わせるために緻密な計画を練り、それを実行していきます。

国主を夢見る庄九郎にとって、奈良屋乗っ取りはその過程に過ぎません。奈良屋の富は、庄九郎が国主になるための道具であり、その道具は美濃の土岐氏内部に深く入り込むために使われていきます。

不幸だったのは、土岐氏の当主の政頼と弟の頼芸です。蝮に睨まれさえしなければ、その後の土岐氏の運命は変わっていたかもしれません。

国盗り物語(1)-司馬遼太郎
取扱店(広告)