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燃えよ剣(下)

大政奉還で騒然とする中、土方歳三は、新選組を脱退した伊東甲子太郎を暗殺します。しかし、伊東一派の残党が近藤勇を狙撃し、新選組は局長を欠く状態で鳥羽伏見で官軍と戦うことになりました。武器の差により惨敗した新選組は大坂城へと退却、そして、江戸に戻り甲陽鎮撫隊を結成して甲府城へ出陣するのでした。

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主な登場人物

あらすじ

土方歳三は、近藤勇の屋敷で参謀の伊東甲子太郎を待ちます。

歳三は、伊東が新選組脱退を言いだすことを予感しており、事実、伊東は彼が入隊した時に率いてきた隊士たちとともに新選組とは別に尊王攘夷のために働くと切り出しました。

伊東とともに脱退した隊士の中には、新選組結成当時からの盟友藤堂平助もおり、歳三と近藤を驚かせます。

慶応3年(1867年)10月に徳川慶喜が朝廷に大政を奉還すると、京都は今までよりも騒然とし始めました。時代が大きく動いている中、歳三は新選組を脱退した伊東甲子太郎を暗殺します。しかし、これが原因で、近藤勇は、後日、伊東一派に銃撃され右肩に大ケガを負うのでした。

慶応4年正月3日。新選組は会津藩を中心とする旧幕府軍とともに薩長を主力とする新政府軍と伏見で激突します。近藤勇がいない新選組を指揮する歳三は、薩摩藩の銃砲の前に苦戦し、刀槍の時代が終わったことを痛感しました。

歳三が大坂城に退却すると、すでに徳川慶喜は軍艦で江戸に逃げ帰った後。歳三も近藤勇や負傷した隊士たちとともに軍艦で品川に戻るのでした。

近藤勇の右肩の傷が癒え、新選組は幕府から甲陽鎮撫隊として甲府城へ向かうように命じられます。官軍を見事撃退できれば、近藤勇は一国一城の主となり、新選組隊士たちの出世も約束されていました。しかし、甲陽鎮撫隊が到着する前に甲府城は官軍に奪われており、近藤勇が大名となる夢は潰えました。

甲陽鎮撫隊は解散。試衛館以来の同志とも別れ、歳三は近藤とともに流山で再挙を図ります。しかし、歳三たちの動きは官軍に察知され、近藤勇は官軍に投降するのでした。

読後の感想

燃えよ剣の最終巻です。

土方歳三が真の力を発揮したのは、新選組が解散してからでした。京都時代は、刀や槍で戦っていた新選組でしたが、土方歳三は鳥羽伏見の戦いでの敗戦で、銃砲の前に刀槍は無力だと悟ります。

歳三が西洋式の戦い方を知るきっかけとなったのは、幕臣の松平太郎との出会いでした。歳三は松平太郎から「歩兵心得」という小冊子を渡され、西洋式の戦い方を身に着けていきます。

土方歳三は、明治2年(1869年)の五稜郭の戦いで戦死しました。

武器や兵力で劣る旧幕府軍は、官軍の侵攻に耐えることができませんでしたが、歳三が率いる部隊だけは負けることはありませんでした。しかし、函館山が官軍に占領された時点で旧幕府軍の敗北は決定的となります。榎本武揚や大鳥圭介の中では、「降伏」の2文字が大きくなっていましたが、歳三は官軍に最後の戦いを挑みます。

新選組を描いた作品は血なまぐさい内容となっているものが多く、本作もその点は同じです。ただ、燃えよ剣では、土方歳三とお雪との恋も描かれており、その点が他の新選組作品とは異なっているように思います。

燃えよ剣(下)-司馬遼太郎
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