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梟の城

天正9年に織田信長に滅ぼされた伊賀忍者の生き残り葛籠重蔵。その復讐のために秀吉暗殺を企てますが、同じ伊賀忍者の風間五平が阻止しようとします。葛籠重蔵の復讐が成功するのか、武士として生きていく望みを持つ風間五平が手柄をたてるのか、2人の伊賀忍者が活躍します。

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主な登場人物

あらすじ

天正9年(1581年)3月。織田信長は、伊賀攻略を隷下の軍団に命じました。織田軍の攻撃により伊賀は一夜にして滅び、生き残った忍者の一人風間五平は京の街に潜みます。また、同じく葛籠重蔵は御斎峠を根拠にして、たまに京に出て織田信長の身辺をうかがっていました。

しかし、重蔵の復讐は本能寺の変により果たせなくなり、その後、豊臣秀吉の天下となります。

ある日、師の下柘植次郎左衛門(しもつげじろうざえもん)が、重蔵のもとに今井宗久からの秀吉暗殺の依頼を持ち込みました。復讐心を駆り立てられた重蔵は、この仕事を引受け今井宗久に会いに行くのでした。

一方、風間五平は、忍者として生きることをやめ、前田玄以に仕え武士になることを決意しました。そして、秀吉暗殺計画を知った五平は、自らの出世のために重蔵を捕えることを考えます。

重蔵の秀吉暗殺が成功するのか、それとも五平が未然に防ぐのか、二人の戦いに甲賀ノ魔利洞玄も加わって事態は思わぬ方向へと転がり出すのでした。

読後の感想

伊賀忍者の葛籠重蔵を主人公に描いた作品です。

織田信長によって伊賀が滅ぼされた後、重蔵は復讐に燃えますが、本能寺の変でそれが叶わなくなります。しかし、秀吉暗殺計画を下柘植次郎左衛門から聞かされた重蔵は、再び復讐心を駆り立てられます。

重蔵が忍者として生きていこうとするのに対して、風間五平は伊賀を裏切り仕官を決意します。重蔵の秀吉暗殺を未然に防げば、出世できると考える五平。しかし、そう簡単にはいきません。

梟の城では、登場人物それぞれが、自らの思惑通りに人を操ろうとしているところがおもしろいです。秀吉暗殺を目論む今井宗久は堺の商人らしい望みを持っていますし、秀吉の奉行である前田玄以もまた将来に保険をかけようとします。

重蔵も五平も、彼らの道具として使われるだけの存在でしかありません。依頼主の仕事を遂行することだけを考える重蔵は、まさに利用されるだけの存在と言えるでしょう。秀吉暗殺が成功しても、口封じのために刺客に襲われるかもしれません。

この作品は、最後の最後でアッと驚く展開が待っています。紙数が少なくなってきても、重蔵と五平がどうなるのか予想できないのですが、ある瞬間に創作と史実がうまく絡まり合い、結末に思わずうなってしまうますね。

梟の城-司馬遼太郎
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