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下天は夢か(2)

桶狭間の戦いで今川義元を討ち取った織田信長は、斎藤龍興を攻めて美濃を手中に収め、足利義昭を奉じて上洛します。朝倉との戦いで浅井長政に背後をつかれ絶体絶命の危機に陥った織田勢。その危機を救ったのは、木下藤吉郎の命をかけた活躍でした。

主な登場人物

あらすじ

永禄7年(1564年)3月。織田信長は、近江北三郡を領している浅井長政に妹の市を嫁がせ攻守同盟を締結します。この同盟で、南近江の六角承禎(ろっかくしょうてい)を打倒し、浅井に無断で朝倉を攻めないことが約束されました。

その後、東美濃を平定した信長は、木下藤吉郎(豊臣秀吉)の活躍もあり、7年に及ぶ斎藤との戦いを制し美濃を平定します。この頃、信長は朝倉義景のもとに身を寄せていた足利義昭に仕える明智光秀と対面し、上洛の決意をします。

しかし、近江の守護六角承禎(ろっかくしょうてい)、14代将軍足利義栄に味方する三好三人衆、背後の上杉謙信や武田信玄が、信長の上洛を阻みます。さらに浅井と朝倉との関係も悪化し、次第に信長包囲網が形成されていきました。

一度は浅井と朝倉に危機的状況に追い込まれた信長でしたが、木下藤吉郎の決死の働きにより勢力を盛り返します。しかし、この頃から信長と足利義昭との関係が悪化し始めるのでした。

読後の感想

1巻では、織田信長が、尾張下四郡を手に入れ、今川義元の侵入を防ぐことを中心に物語が進んでいきました。弱者の立場の信長が、どうやって戦国の世を生き抜いていくかということが主題でした。

2巻に入ってからは、領土を広げていく信長が描かれています。そんな中、吉野(きつの)が、この世を去ります。信長にとって吉野は、唯一、心を許した女性。信長が一歩ずつ天下統一に向けて進んでいくたびに亡き吉野に語りかける姿は、「下天は夢か」独特の描写です。

また、2巻では、信長の出世と関わりの深い足利義昭や明智光秀も登場し、物語が上洛に向けて急速に展開していくので、のめりこむように読み進んでいけます。

宣教師のルイス・フロイスとの出会いも、2巻の見どころのひとつですね。

下天は夢か(2)-津本陽
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