HOME > 作家別 > 津本陽 > 大わらんじの男(2)

 

大わらんじの男(2)

兄頼職の急死で紀州家を継いだ吉宗は、藩財政の建て直しに力を入れ、旧勢力に命を狙われる中、着々と成果を上げていきます。幕府も、綱吉、家宣が亡くなり、幼い家継が将軍位に就き不安定な政治が続いていました。幕府内から一部で吉宗待望論が持ち上がりますが、彼が将軍になるのは難しい状況にありました。

PR

  1. Audibleで耳から読書
  2. どんな本にも装着できるフリーサイズブックカバー

主な登場人物

あらすじ

兄頼職の急死により紀州家を相続することとなった新之助は、宝永2年(1705年)9月21日に江戸へ出立しました。江戸では、納払帳から紀州家の収支を確認し、家臣たちは新之助の財政の知識に感服します。

12月に将軍綱吉からその名の一字を賜り、新之助は吉宗と名を改めました。

吉宗は、江戸での滞在中、定府藩士が消費する諸経費が国許よりも上回っていたことを知り、その改革の必要性を悟ります。藩士から差上金を借り上げることも考えられましたが、それより、江戸屋敷役人と国許の二分口役所、仕入方会所の役人の綱紀の緩みを是正する方が冗費倹約の成果を上げうると判断します。また、領内用水開発の土木普請にも力を入れ、藩財政を立て直すことにしました。

国許に帰った吉宗の命を狙う者たちがいましたが、石川門太夫と川上弥五左衛門の活躍により何事もなく事態は収拾します。

綱吉亡き後、将軍となった家宣でしたが、彼もまた短い間に亡くなり、7代将軍は家宣の子である幼い家継が継ぐことになりました。家継の治世が長く続けば吉宗が将軍になる可能性は低くなります。また、家継が幼くして亡くなっても、尾張家から次の将軍を出すことから、吉宗が将軍位に就く望みは非常に薄い状況でした。

ところが、尾張家で変事が起こり、吉宗が次期将軍に就く可能性が一気に高まるのでした。

読後の感想

第2巻では、徳川吉宗が紀州家を継ぎます。

財政に明るい吉宗は、藩財政の建て直しに力を入れ成果を出していきます。

一方、急死した綱教、頼職の残党たちが主君の仇を取るため吉宗の命を狙います。吉宗が紀州家を継ぐことができたのは、父や兄たちの急死という偶然が重なったからであり、本作では兄たちは暗殺された設定となっています。第2巻では、旧勢力の残党が吉宗の命を狙い、忍者の石川門太夫と川上弥五左衛門がそれを阻止するため陰ながら働く場面が読みどころの一つとなっています。

紀州藩と同じく幕府も財政難で苦労していました。間部詮房と新井白石が財政再建に力を入れるものの、幕府内での勢力争いもあり、なかなか実現できません。そんな中、将軍家宣が亡くなり、幼い家継が将軍となります。もちろん、将軍といっても家継に何もできませんから、間部と新井による幕政の舵取りが続きます。

幕府内には、吉宗が将軍になることを望む者もいましたが、家継の身に何かあっても、次の将軍は尾張家から出すことになることから吉宗が将軍になることは絶望に近い状況です。ところが、尾張家でも、藩主の不幸があり、吉宗が将軍になる可能性が一気に高まります。

大わらんじの男(2)-津本陽
取扱店(広告)