真田太平記(12)
大坂夏の陣が終わり徳川の天下となりました。しかし、取り潰される大名は後を絶たず、真田家も窮地に陥ります。信之の真田家を守るための舵取り、幸村の妻と娘たちの新たな生活、樋口角兵衛や草の者のその後。真田家と関わる人々の行く末が描かれたシリーズ完結編。 |
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主な登場人物
あらすじ
大阪夏の陣が終わり、徳川の天下が盤石のものとなりました。上田が真田家に戻ることが決まり、幸村の妻と娘たちも滝川三九郎(一績)が引き取ることとなって、信之に心休まる時が訪れたかに思えました。
しかし、徳川家康が亡くなり秀忠の世になると、諸国大名の取り潰しが頻繁に行われ、真田家にも危機が訪れます。
関ヶ原の戦いの折、真田昌幸と幸村父子のせいで戦場に間に合わなかった秀忠の怒りは、15年以上たっても消えずに残っていました。信之の行動を長年に渡り幕府に報告し続けていた隠密馬場彦四郎から、真田家取り潰しの口実となる証言を得た幕府が動き出します。
万事休すと思われた真田家を救ったのは、信之が保管していた亡き家康の1通の書状でした。
しかし、幕府の諸国大名の取り潰しはなおも続き、関ヶ原の戦いで功績のあった福島正則や徳川家の重臣本多正純までもが所領を奪われます。
理不尽な幕府のやり方にこらえる真田信之と家臣たち。そして、幕府の命に従い、信之は真田家を守るために新天地に旅立つのでした。
読後の感想
真田太平記の最終巻です。
大坂夏の陣後の真田家を取り巻く環境を中心に物語は進んでいきます。豊臣家が滅び太平の世が訪れたわけですが、大名たちにとってはこれからが本当の戦いの始まりです。
幕府によって次から次に取り潰しになる大名。それを見た他の大名は、次は我が身かもとヒヤヒヤしながら日々を送ります。当然、幕府の命には絶対服従です。
真田家を守るために信之も、幕府の命には逆らわないようにします。そして、揚げ足を取られないように細心の注意を払って行動します。しかし、徳川秀忠は、関ヶ原以来、真田家に良い印象を持っていません。隙あらば、真田を取り潰してやろうと狙っています。
当然、隠密も真田家に忍び込ませており、取り潰しの口実になる情報の収集を長年続けていました。
しかし、常に慎重な信之は、幕府につけ込まれないように非常事態に備えていたことから、この窮地を乗り切ります。
また、最終巻では、樋口角兵衛と草の者たちのその後も描かれています。
非常に長い小説ですが、読むのが苦痛に感じることはなかったです。会話が多かったこともありますし、本筋から外れて脇道にそれても、その脇道が再び本筋へと帰ってくるので意味のない描写ではなかったことなどがその理由でしょう。
フィクションも多いですが、史実とうまく絡めているので、史実とフィクションの境目がわかりにくくなっています。これも本作の特徴と言えますね。
真田太平記(12)-池波正太郎 |
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