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新・平家物語(13)

暴風雨の中、船で四国に渡った義経の軍勢は、平家の陣に奇襲をかけます。平家方の武将桜間ノ介が、すぐに源氏襲来を平宗盛に伝えると、平家の軍勢は一斉に船に乗り沖へと逃げました。しかし、奇襲をかけた源氏の軍勢が思いの他少なかったことに気づいた平宗盛は、逃げ帰った桜間ノ介を叱責するのでした。

主な登場人物

あらすじ

暴風雨の中、四国に渡った源義経の軍勢は、平家の陣に奇襲をかけます。

不意を突かれた平家方の桜間ノ介能遠は、源氏の襲撃を屋島の平宗盛に伝えました。慌てた宗盛は、ただちに船に乗り沖へと逃げます。

しかし、源氏の軍勢は想像よりも少なく、宗盛は、沖に逃げたことを後悔しました。

源氏の軍勢が少ないことを知った平教経は、田口教能の援軍が来るまでの時間を稼ぐため、何度も上陸して、源氏と小競り合いをする作戦に出ます。

一方の義経は、平家から投降した桜間ノ介能遠を田口教能のもとに遣わし、源氏に味方するよう説得します。田口教能は、桜間ノ介能遠から平家の運命は極まったことを説かれ、源氏に味方する決心をしました。

援軍が来ないことを知った平家は、屋島を捨て、厳島を経て平知盛がいる彦島を目指すのでした。

読後の感想

第13巻では、前半で屋島の戦い、後半で壇ノ浦の戦い前夜が描かれています。

屋島の戦いでは、平教経の活躍、那須余一が扇に矢を射る場面など、読みどころが豊富です。

数の上では、平家が圧倒的に有利な状況だった屋島の戦いですが、義経の奇襲を過大評価した平宗盛の判断が、平家の運命を決定づけたと言えます。

奇襲を受け、すぐにそれを知らせた桜間ノ介でしたが、宗盛は戦場から逃げ出したとして桜間ノ介を叱責しました。これにより、桜間ノ介は源氏に投降し、平家が頼みとしていた田口教能も平家を見限ることになります。

屋島の戦いに敗れた平家は、一気に衰退していきました。これまで、平家の味方であった者たちも次々に源氏に走り、兵力の差が逆転してしまいます。

平家の中でも、それぞれに思惑があり、平時忠は源氏との和睦を望んでいましたが、宗盛は源氏との戦いを選びます。平家にとって最後の頼みは平知盛でしたが、彼は、すでに平家の敗北を予感しており、自らの死に場所を探していました。

平家の滅亡が刻一刻と近づいています。

新・平家物語(13)-吉川英治
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