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新・平家物語(1)

自分が白河法皇の子だと知った清盛は、母泰子が家を出た後、父忠盛とともに鳥羽上皇の下で働きます。やがて、時子と結婚した清盛は六波羅に屋敷を構えることになるものの、義弟の時忠らが比叡山の法師たちと喧嘩したため、祇園で乱闘事件を起こすのでした。

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主な登場人物

あらすじ

清盛は、父忠盛に頼まれ叔父の忠正に金を借りに行きました。嫌味を言いながら渋々金を貸す忠正。悔し泣きしながら受け取った金を持ち清盛は帰路につきます。

その途中、勧学院の同窓だった遠藤盛遠と出会い、酒を飲みに行くことに。盛遠は、清盛に母の泰子が白河上皇の思い人であった祇園女御だと聞かされ、そして、清盛の実の父親は白河上皇だと言われます。

帰宅した清盛は、爺の家貞にそのことを話します。戸惑う家貞。

二人の会話を聞いていた泰子は、忠盛に家を出ると言い出します。忠盛は妻と別れ、清盛らとともに暮らし始めることになりました。

ある日、源渡の妻の袈裟御前が殺害される事件が起こりました。下手人は遠藤盛遠。盛遠は、袈裟御前に恋をし、源渡の寝首を掻こうとしました。ところが、盛遠は袈裟御前の首を斬ってしまいます。

姿をくらました盛遠を捕らえるため、清盛は彼の居場所を探します。盛遠を高雄で目撃したとの情報がありましたが、結局、清盛は盛遠を捕らえることができませんでした。

やがて、清盛は、平時信の娘の時子と結婚し、六波羅に屋敷を構えて生活することになります。そんなある日、時子の弟の時忠らが比叡山の法師たちと喧嘩する事件が起こりました、法師たちは、清盛に時忠らの引き渡しを要求します。しかし、清盛がそれを断ったため、法師たちは神輿を担ぎ強訴に及びました。

祇園にやって来た法師たちが担ぐ神輿。清盛は、その神輿に向かって矢を放ち、大乱闘となるのでした。

読後の感想

平家物語を題材にした長編小説です。

この作品は、登場人物が多く、人間関係が複雑なのですが、その分読み応えがあります。

物語は平清盛を中心に進んでいきます。父忠盛と母泰子との間に生まれたと思っていた清盛は、遠藤盛遠から本当の出自を聞かされ困惑します。しかし、これがきっかけとなり、屋敷の中ばかりにいた忠盛は、泰子と別れ、積極的に鳥羽上皇の下で働くようになります。そして、清盛もまた院に仕えることになりました。

泰子と清盛の親子関係が複雑なら、天皇家と藤原氏の親子関係も複雑です。鳥羽上皇と待賢門院の間に生まれた崇徳天皇でしたが、待賢門院が白河法皇と恋仲だったことから、崇徳天皇の実の父は白河法皇だと噂されます。この辺の事情は清盛と同じですが、天皇家なので事の重大さは平家とは全く違います。白河法皇を恨んでいた鳥羽上皇は、崇徳天皇に男子が誕生すると、崇徳天皇にも自分と同じ気持ちを味わわせようと、すぐに上皇と美福門院の間に生まれた子を即位させます。それが近衛天皇です。退位した崇徳天皇は上皇となり、何もすることなく10年以上の歳月を送ることになりました。

藤原氏では、兄の忠通が摂政でしたが、弟の頼長の方が政治的手腕があると父の忠実は思っていました。そこで、忠実は忠通から摂政を取り上げ、それを頼長に引き継がせようとします。ところが、朝廷で権力を握ろうとする藤原信西が、忠実と頼長に罠を仕掛けたため、二人は政治の中枢から外れることになりました。

しかし、忠実と頼長もこのまま黙ってはいません。若くして崩御した近衛天皇の後、崇徳上皇に近づき政権奪取を目論見ます。

この朝廷内での政権争いに平家と源氏も巻き込まれていくことになります。

本作では、本筋以外にも、遠藤盛遠の事件や佐藤義清の出家などの話も出てきます。これら本筋と離れた物語が、ちょうど良い箸休めになっているので、読み進めていくのが苦になりにくいですね。

新・平家物語(1)-吉川英治
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