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源頼朝(1)

平治の乱で敗れた源義朝一行が吹雪の中、東国を目指して進んでいきます。しかし、父義朝とはぐれた頼朝は、平宗清に捕えられ、京都に送り返されることに。頼朝の助命を嘆願する平重盛と池禅尼でしたが、平清盛は耳を貸しません。その頃、3人の幼子を連れた常盤御前が六波羅に連れて来られるのでした。

主な登場人物

あらすじ

平治元年(1159年)の12月。吹雪の中を主従7騎の影が東へと向かっています。平治の乱で敗れた源義朝の一行です。

その主従7騎からはぐれた13歳の源頼朝は、尼寺に潜伏し、時を見て東国に下ることにしました。しかし、その途中で平宗清に正体を見破られ、京都に送り返されます。

平治の乱の後、京都でも平家により源義朝の縁者の捜索が行われていました。義朝の妻の常盤御前は、3人の幼子とともに清水寺に身をひそめていましたが、追手が近づくのを知り、南へと逃げ、伯父の家を訪ねます。しかし、伯父は、常盤御前を平家に渡し手柄を立てたのでした。

平家に捕えられた頼朝は、日夜、父や兄弟の供養のために小卒塔婆に名号を記していました。その姿に心打たれた平重盛や池禅尼は、頼朝の助命を平清盛に懇願します。しかし、清盛は頼朝の助命を認めようとしません。

そんな時、清盛のもとへ常盤御前と3人の幼子が連れて来られました。清盛は、女子に罪はないとし、常盤御前の命を助けます。しかし、3人の幼子については厳しく処断するつもりでいました。

平重盛と池禅尼による頼朝の助命嘆願が続きます。清盛は、遂に重盛の説得に応じ、頼朝の命を助けることにしました。また、常盤御前が連れてきた3人の幼子も出家を前提に命を助けることを決めました。

そして、頼朝は、配流先の伊豆へと向かうのでした。

読後の感想

源頼朝を主人公にした作品の第1巻です。

第1巻の前半は、平治の乱で敗れた後、頼朝が伊豆に流されるまでが描かれています。そして、中盤では源義経が鞍馬から奥州平泉に旅立つまで、後半では伊豆での頼朝の暮らしが描かれています。

頼朝が伊豆に流されてからの10年以上の歳月は、全くと言っていいほど描写されていません。この期間の頼朝の生活がどのようなものであったのか、よくわかっていないのでしょうね。また、わかっていたとしても、単調な日々の繰り返しだったでしょうから物語にするのは難しいのかもしれません。

そのため、頼朝が伊豆に流されている間は、彼の弟の義経の鞍馬時代に多くの紙数を割いているのでしょう。

後半では、伊豆の頼朝の近辺が騒がしくなります。いよいよ平家追討に起ち上がるのかと、盛り上がりを見せながら第2巻へと続いていきます。

源頼朝(1)-吉川英治
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