源頼朝(2)
以仁王の令旨を受けた頼朝は、平家追討に起ち上がります。山木兼家を討ち取った後、石橋山で敗れましたが、その後、巻き返し、富士川で平家の大軍を迎え打ち、見事退けました。黄瀬川では、弟の義経が奥州から馳せ参じ、頼朝はさらに勢いづくのでした。 |
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主な登場人物
あらすじ
平清盛が福原遷都を進める中、源頼政と以仁王が平家追討に起ち上がりました。
以仁王の令旨は、源行家を介して伊豆の頼朝の許へも届けられます。
平治の乱から20年。頼朝は遂に平家追討のため挙兵しました。頼朝の軍は、直ちに山木兼家を討ち取りましたが、石橋山で敗れ、安房に撤退します。
安房にいつまでもいられないと考えた頼朝は、鎌倉に向かって進みます。その途中で、千葉介常胤や上総介広常を味方とし、軍勢は2万を超えました。
頼朝の挙兵を知った平家は、大軍を東下させます。そして、源平両軍が富士川で対峙しましたが、水鳥の飛び立つ音を敵襲と勘違いした平家の軍勢は一目散に逃げていきました。
頼朝は、黄瀬川まで兵を進めます。そこで、奥州から加勢に来た弟の義経と会いました。
義経は、兄頼朝のために力を尽くすことを誓いますが、次第に兄弟の間に溝ができ始めるのでした。
読後の感想
源頼朝の最終巻です。
いよいよ平家追討のために頼朝が挙兵します。しかし、少ない手兵での挙兵だったため、石橋山で頼朝は敗れました。
しかし、頼朝の命は、敵の梶原景時のおかげで助けられ、再度、平家追討の機会を得ることができました。敗戦後の頼朝には、全く敗者らしさを感じません。むしろ、挙兵前よりも頼もしくなったように思えます。
喉から手が出るほど、援軍を欲していた頼朝のもとへ、上総介広常が2万の大軍を率いて加勢に赴きます。この時の頼朝の態度が、彼のその後を大きく変えたと言えるでしょう。
普通なら、大喜びで上総介広常を出迎えるところですが、頼朝は、今さら援軍に駈けつけた上総介とは面会をしませんでした。戦が始まる前に加勢するべきところ、戦が終わってから加勢した上総介を媚を売るような態度で出迎えれば、兵たちの士気に影響が出ます。
そのことをよく理解していた頼朝は、上総介が遅参したことを責め、すぐには味方とはしませんでした。
最終巻では、頼朝と義経の兄弟の出会いも読みどころです。
一度は、ともに手を取り合って妥当平家のために戦おうと誓った二人でしたが、頼朝が義経の才能に気づき始めると、遠ざけるようになります。
最終巻の後半は、義経が主役であるかのように物語が進んでいきます。最後の方の展開は駆け足で過ぎていき、読み足りなさを覚えますね。
源頼朝(2)-吉川英治 |
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