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乱紋(上)

天正13年の新春。浅井三姉妹の三女おごうのもとに秀吉から佐治与九郎との縁談の話が持ち込まれます。秀吉の命じるままに嫁ぐおごう。侍女のおちかの不安をよそに仲睦まじく暮らすおごうと与九郎でしたが、織田信雄の失脚が夫婦に大きな影響を与えるのでした。
 
 

主な登場人物

あらすじ

天正13年(1585年)の新春。安土城で暮らす浅井長政の長女お茶々(淀殿)、次女お初(常高院)、三女おごう(崇源院)の三姉妹のもとに羽柴秀吉(豊臣秀吉)が縁談の話を持ってきました。

縁談の相手は、織田信長の甥にあたる佐治与九郎(一成)。三姉妹のいとこです。与九郎に嫁ぐのは、2人の美貌の姉のどちらかと思われました。しかし、秀吉の口から出た名は、三女のおごうでした。

2人の姉と比較すると、決して美しいとは言えず、しかも無口なおごう。秀吉が彼女を佐治家に嫁がせる目的は、佐治家の背後にいる織田信雄を牽制すること、すなわち政略結婚です。おごうは、秀吉から美しい裲襠(うちかけ)を贈られ、侍女のおちかを伴い安土城を出発するのでした。

おごうと与九郎の夫婦仲は良好で、仲睦まじく暮らす日々が5年続きました。

秀吉の小田原攻めの後、佐治家の主君筋にあたる織田信雄が、秀吉の命による尾張から東海5ヶ国への転封を拒んだことが理由で、領地を没収されます。そして、その影響は、おごうと与九郎にも降りかかりました。

おごうの行く末を案じた与九郎は、彼女の幸せのため、ある重大な決断をするのでした。

読後の感想

浅井三姉妹の三女おごうを主人公にした作品です。

おごうが主人公とは言っても、物語は、侍女のおちかの目線で進んでいきます。

浅井三姉妹で最も有名なのは、豊臣秀吉に嫁いだお茶々ですが、三姉妹で歴史上最も活躍したのは、おごうでしょう。しかし、おごうの生涯は順風満帆ではなく、お茶々と同じく波乱に満ちたものでした。

乱紋の上巻では、おごうと佐治与九郎との5年間の夫婦生活に多くの紙数が割かれています。口数の少ないおごうが、与九郎とうまくいくのか不安になる侍女のおちか。ところが、おちかの不安をよそに2人の夫婦仲は良好でした。

物語では、ちくぜんと呼ばれている博多商人も登場します。このちくぜんが、おちかに様々な情報をもたらすのですが、いったい彼は何者なのか。おごうに関係する情報をいち早くおちかに届けてくるので、ただの商人ではなさそうです。

戦国乱世を描いた時代小説は、男性目線で物語が進んでいきますが、乱紋では、女性目線で物語が進んでいくのが新鮮です。おちかの心の声が、いろんな場面で聞こえてくるのも面白いですね。

 
 
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