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武田勝頼(1)陽の巻

三方ヶ原の戦いの最中に急死した武田信玄。司令塔を失った武田家は、重要事項の決定ができなくなります。その間にも、織田と徳川が領土を拡張し武田家を脅かします。このような状況を打開するため、武田家は評議の結果、信玄の子勝頼を統領の座に据えるのでした。
 
 

主な登場人物

あらすじ

三方ヶ原の戦いで徳川家康をあと一歩のところまで追い込んだ武田信玄。しかし、戦いの最中に持病の労咳が悪化し急死します。

武田信玄は、家中に自分の死を3年隠すことを命じてこの世を去りましたが、彼の死はすぐに諸国に知られることになりました。武田家に従っていた山家三方衆の奥平家も、武田家中の異変を察知し、徳川のもとへ走ります。

信玄亡き後、武田家は当主がいない状態が続き、何事も家中の評議で決するようになりました。しかし、中心人物がいない武田家は、長篠城を徳川に奪われたり、武田信廉が戦に敗れたりと、信玄が生きていた頃には考えられなかった失態が次々と起こります。このような状況を変えるため、武田家は、信玄の子勝頼を統領の座につけることを決めるのでした。

勝頼が家督を継いだ武田家は、東美濃で織田信長を撃退、さらに徳川家康の高天神城も攻略します。援軍として徳川軍と合流した織田信長は、高天神城の落城を知ると、すぐに引き返し伊勢長島の一向一揆の殲滅にとりかかります。

長島本願寺は、勝頼に武田水軍の派遣を再三求めました。しかし、家中の意見をまとめられなかった勝頼は、武田水軍の派遣をできず、長島本願寺は織田信長に滅ぼされるのでした。

読後の感想

武田信玄亡き後の武田家を描いた作品です。主人公は、信玄の後に武田家を継いだ勝頼です。

名将として知られる武田信玄でしたが、彼は、自分の後継ぎを決めることなく急死しました。これが、武田家の命運を決めることになります。

当主がおらず、何事も家中の評議で決定しなければならなかった武田家がもたついている間に織田と徳川が領土を拡張していきます。

派閥争いもあり、家中の結束が乱れていく武田家。奥平家が離反したり長篠城が奪われたりして、ようやく勝頼を統領の座に据えなければ家中がまとまらないことに気付きます。リーダーを得た組織は強いもので、ここから武田家は反撃に出ます。しかし、武田家中は信玄の時代のように一枚岩ではなく、勝頼の発言権も弱いことから、重要事項の決断ができません。それが長島本願寺の滅亡につながるのですが。

1巻では、長篠の戦いの序盤までが描かれています。長篠の戦いは、織田軍の鉄砲隊の活躍が有名ですが、武田を離反した奥平家の活躍からも目が離せません。

 
 
武田勝頼(1)陽の巻-新田次郎
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