HOME > 作家別 > 新田次郎 > 武田信玄(林の巻)

 

武田信玄(林の巻)

武田晴信に信州を追われた村上義清が越後の長尾景虎に助けを求めました。これに応じた長尾景虎は晴信との戦いを決断します。川中島で、2度、3度と甲越両軍はぶつかりましたが決着はつかず。4度目の戦いでは、両者とも雌雄を決することを誓い、大会戦を繰り広げるのでした。
 
 

主な登場人物

あらすじ

天文21年(1552年)。武田晴信(信玄)は、嫡男義信を今川義元の息女と結婚させました。

越後に潜入していた山本勘助から長尾景虎(上杉謙信)の人物像を聞かされた晴信は、景虎との戦いを避けては通れないことを悟ります。

武田軍の侵略で信州を追われた村上義清は、長尾景虎に助けを求めました。村上義清の求めに応じた景虎は川中島へと越軍を進めます。甲越の長きにわたる川中島の戦いの始まりです。

この頃、武田、今川、北条との間で三国同盟が結ばれました。三国同盟により背後を脅かされる心配が無くなった晴信は、長尾景虎との戦いに力を注ぐことができましたが、2度目の川中島の戦いは、200日の対陣でも決着がつきませんでした。また、3度目の川中島の戦いも晴信が決戦を避け、どちらにも軍配は上がりませんでした。

薙髪した晴信は名を信玄と改めます。また、長尾景虎も関東管領に就任し上杉政虎と改名。

信玄は、次の川中島の戦いに備えて海津城を築城します。そして、山本勘助に川中島の気候を調べさせ、霧が戦いの勝敗を決する重要な要素となることを悟ります。一方、上杉政虎も同じく川中島の霧に関心を持ちます。

永禄4年(1561年)秋。甲越両軍は川中島で4度目の戦いを繰り広げるのでした。

読後の感想

風の巻は、武田信玄の2巻です。

この風の巻で、いよいよ上杉謙信が登場します。武田信玄は上杉謙信と5度川中島で戦いました。風の巻では、長きにわたる川中島の戦いの中で最も激しかった4度目の合戦も描かれています。本作で、最も読みごたえがあるのが風の巻ではないでしょうか。

川中島の戦いで、活躍した武田方の武将で有名なのは山本勘助です。山本勘助は信玄の軍師とされていますが、本作での山本勘助は軍師とは違った役割をします。もちろん川中島の戦いになくてはならない人物として描かれていますが、これまでの山本勘助像とは異なっています。

本作の山本勘助の働きは、川中島の戦いだけではありません。織田信長が今川義元を討ち取った桶狭間の戦いでも、彼は活躍します。信玄は、米を求めて信州に進出した一方で、金を得るために駿河と遠江の侵略も考えていました。今川、北条と三国同盟を結んだと言っても、信玄にとっては一時的なものでしかなく、いずれは同盟が破綻することをわかっていました。桶狭間の戦いは、信玄にとって好都合だったのです。

川中島の戦いの最前線で戦ったのは、甲越両軍とも信濃武士でした。土地を奪われた信濃武士は、上杉に味方する者、武田に味方する者に分かれます。甲越両軍は、彼らを利用して戦っていたので本軍の損耗は少なく、信濃武士ばかりが傷ついていきました。こういったところに戦国時代のむごさを感じます。

 
 
武田信玄(林の巻)-新田次郎
取扱店