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反逆(下)

荒木村重が有岡城から脱出し毛利に援軍を要請しようとしましたが、その直後に織田軍の攻撃が激しくなり落城することに。明智光秀が本能寺の変を起こすまでの心模様、羽柴秀吉が柴田勝家を倒すまでの巧妙な立ち回りが独特の視点で描かれています。

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主な登場人物

あらすじ

自ら毛利に援軍を要請する事を決意した荒木村重は、天正7年(1579年)9月2日に有岡城を脱出し、尼崎城へと向かいました。

村重の脱出を織田方に気づかれないように尼崎城からの織田軍への攻撃が活発になります。有岡城を抜け出した村重は、猪名川から舟に乗り尼崎城へ出発。その時、一人の女性が赤子を連れて現れます。それは、村重の妻の「だし」に仕えている者で、赤子は村重の子の鶴千代でした。だしは、万が一に備えて、鶴千代を城外に脱出させたのです。

我が子を連れた村重一行は、無事に尼崎城に到着。城門まで、嫡男の荒木村次が出迎えました。

しかし、織田軍の猛攻で有岡城は落城。城に残っていた者たちは主君に裏切られた絶望感の中、次々と命を落としていきます。信長に逆らったことで最愛の妻だしを失った荒木村重は、名を道糞と改め世間から離れて暮らすことにしました。

織田信長に仕える明智光秀は教養人であったものの、羽柴秀吉に出世争いで負けたくないという気持ちと信長の意に媚びたいという一心から、比叡山の焼き討ちや一向宗門徒との戦いの際に、無抵抗な者たちを次々に殺していきました。

秀吉と光秀を巧みに競わせて天下取りを進めていく織田信長。湧き上がってくる嫉妬心を抑えることができない明智光秀。やがて二人の関係は本能寺の変で終焉を迎えます。

天王山の戦いで明智光秀が討ち死にすると、次の天下は、次第に羽柴秀吉と柴田勝家に絞られていくのでした。

読後の感想

「反逆」は、前半は荒木村重が主役でしたが、後半は、明智光秀と羽柴秀吉を中心に物語が進んでいきます。

織田信長に認められたいと思う明智光秀。しかし、信長は、その気持ちを察して、羽柴秀吉に重要な仕事を任せます。このあたりの光秀の嫉妬心が、その後の本能寺の変につながっていくのですが、そこに至るまでに、光秀の心をうまく利用しようとする者が現れます。ここが、「反逆(下)」で、最もおもしろく感じる場面でしょうね。

本能寺の変の後、主役は羽柴秀吉になります。ここからは、秀吉が、明智光秀を倒し、柴田勝家を北の庄で自決に追い込むまでの巧妙さが描かれています。

全体を通して、「反逆」は、登場人物の心の弱さやその時その時の心の葛藤を描いています。この点が、「反逆」の特徴と言えますね。

反逆(下)-遠藤周作
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