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沈黙

島原の内乱後、日本でのキリスト教の勢いは弱くなっていました。イエズス会のガルペとロドリゴの2人の司祭は、潜伏布教すること、先に捕えられたフェレイラ教父が棄教した事実を確かめることを目的に日本に渡ります。しかし、2人は間もなく奉行所に捕えられ棄教を迫られるのでした。

あらすじ

日本でキリスト教の布教活動を行っていたポルトガルのイエズス会のクリストヴァン・フェレイラ教父が長崎で拷問を受け棄教を誓わされました。

その報告はローマ教会に伝えられ、フランシス・ガルペ、ホアンテ・サンタ・マルタ、セバスチャン・ロドリゴの3人の司祭が日本に渡航し、潜伏布教を行うことを決意します。また、彼らは、フェレイラが殉教せず、棄教したことが信じられず、その真偽を確かめたい気持ちもありました。

島原の内乱後、キリスト教徒は弾圧され、宣教師が日本に渡航することも困難となっていました。

マカオに到着した3人は、キチジローという名の日本人と出会い日本への道先案内とします。しかし、サンタ・マルタはマカオでマラリアにかかり日本に渡ることはできませんでした。

ガルペとロドリゴの2人は、キチジローとともに長崎に上陸しました。そして、キチジローは長崎に隠れ住むキリスト教徒たちに2人の司祭が来たことを告げ、ガルペとロドリゴは、隠れ家に身を隠しながら、長崎のキリスト教徒たちと交流を続けました。

しかし、2人の司祭が潜伏していることは奉行所の知るところとなり、キリスト教徒たちは拷問を受け、ついにガルペとロドリゴも捕えられたのでした。

読後の感想

島原の乱後のキリシタン弾圧を描いた作品です。

本作の主役はセバスチャン・ロドリゴで、前半は彼の書簡を中心に物語が進んでいきます。

江戸幕府は、キリスト教を邪教とし布教活動を禁じるとともにキリシタンには棄教を迫りました。しかし、キリシタンの中には棄教を拒む人たちもおり、彼らは様々な拷問を受け亡くなっていきました。

そのような時代に日本にやって来たのが、ロドリゴとガルペの2人の司祭でした。彼らは、先に日本で捕えられたフェレイラが棄教した事実を知ること、日本で再びキリスト教を布教することを目的に危険を冒して渡航しました。

2人の司祭が隠れながら布教を行っていることは奉行所の知るところとなります。そして、奉行所は2人をかくまったキリスト教徒を捕え、拷問にかけて処刑しました。

どんなに祈りをささげても、神は救いの手を差し伸べません。まさに沈黙したままです。ロドリゴも、やがて奉行所に捕えられ踏絵を強要されます。

その時、神は沈黙を破るのか。

宗教とは何なのかを考えさせられる作品です。

沈黙-遠藤周作
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