時代小説の魅力
時代小説の魅力。それは、その時の流行り廃りとは関係なく作品を楽しめること。どんなに古い作品でも、色褪せることがないのは、歴史の世界を再現しようとする書き手の創作意欲が伝わってくるから。史実に忠実であろうとする歴史小説、フィクションを織り込んだ作品、どれも作家の特徴が出て味わい深いのが時代小説の魅力です。
最近読んだ時代小説
大わらんじの男(1)-津本陽 |
紀州藩主光貞の子として産まれた新之助は、たくましく、そして、心優しく育っていきます。しかし、新之助には2人の兄がおり、藩主の地位を望める立場にありませんでした。ところが、兄たちが次々と謎の死を遂げ、新之助に紀州藩主となる道が開けるのでした。
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南海の龍-津本陽 |
紀州藩主徳川光貞の四男として産まれた新之助は、兄たちよりも心身ともにたくましく成長していきます。そして、英君になるための教育を施された新之助は、家臣たちからも期待される人物となりました。しかし、二人の兄の存在が、新之助が藩主となる道を遮るのでした。
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八代将軍 吉宗-堀和久 |
江戸幕府八代将軍になった徳川吉宗は、大奥との関係を良好に保ちながら、その改革を行います。さらに町火消制度の創設や目安箱の設置により、庶民の暮らしがより良くなるように図りました。しかし、幕府財政の安定化は思うようにいかず、苦悩するのでした。
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市塵(下)-藤沢周平 |
朝鮮通信使の迎接に就いた新井白石は、将軍の呼称を日本国王に改めることや御三家の相伴廃止といった通信使改革案を実行に移します。そして、通信使迎接の後は、荻原重秀によって劣化した貨幣の質を元に戻すため金銀貨の改鋳案をまとめるのでした。
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市塵(上)-藤沢周平 |
甲府藩の用人間部詮房は、次期将軍に藩主綱豊を推す計画を新井白石に打ち明けます。5代将軍綱吉の世で、取り潰しに遭う大名や旗本、生類憐みの令により息詰まる生活を強いられる庶民を救うため、白石は間部詮房とともに幕政改革に乗り出します。
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峠の群像(4)-堺屋太一 |
赤穂藩の取り潰しが決まり、大野九郎兵衛は、藩札の清算に追われるも、石野七郎次の才覚により何とか乗り切ります。藩士たちは、これからどうするのか。お家再興を目指すのか、主君の仇討ちをするのか。筆頭家老の大石内蔵助は、仇討ちを望む藩士たちをまとめ上げ、吉良邸に討ち入るのでした。
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峠の群像(3)-堺屋太一 |
幕府は、徳川綱吉の生母桂昌院の昇位のため、江戸城に勅使を迎えることを決定します。柳沢保明は、勅使饗応役の経験がある浅野内匠頭を今回も同役に任じます。しかし、二度も勅使饗応役を任されることになった浅野内匠頭は、吉良上野介の嫌がらせだと誤解するのでした。
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峠の群像(2)-堺屋太一 |
幕府財政の建て直しのため、荻原重秀が柳沢保明に貨幣改鋳を献策します。貨幣改鋳は、物価高を招き、赤穂藩も新浜造営の費用捻出に苦慮します。赤穂藩の浜子たちも物価高で生活が苦しくなるものの、財政悪化のため、彼らの賃銀引き上げをできないのでした。
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峠の群像(1)-堺屋太一 |
財政難にあえぐ赤穂藩。年々、借金は膨らみ、その利払いも大きくなる中、大野九郎兵衛に仕える石野七郎次が、赤穂の特産品である塩に活路を見出します。ところが、水谷家の取り潰しによる松山城の接収を命じられた赤穂藩は、大きな出費を余儀なくされるのでした。
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隼別王子の叛乱-田辺聖子 |
弟たちを死に追いやり大王となった大鷦鷯のやり方に不満を持つ隼別の王子。その不満は、大鷦鷯の大王が彼の恋人女鳥の姫をさらったことで叛乱という形で表に現れます。叛乱の最中、隼別の王子と合流した女鳥の姫。古墳時代の悲しき恋物語が始まります。
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