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八代将軍 吉宗

江戸幕府八代将軍になった徳川吉宗は、大奥との関係を良好に保ちながら、その改革を行います。さらに町火消制度の創設や目安箱の設置により、庶民の暮らしがより良くなるように図りました。しかし、幕府財政の安定化は思うようにいかず、苦悩するのでした。

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主な登場人物

あらすじ

享保元年(1716年)8月13日。徳川吉宗は、江戸城本丸大広間で、将軍宣下を受けました。しかし、吉宗は、喜びよりも前途に暗雲を見るのでした。

年が明け正月となり、日本中の主だった者が自分の前にひれ伏すのを見て、吉宗は、将軍の権力の大きさを実感します。しかし、有頂天になることなく、大奥との関係を良好に保ちながら、その改革を行っていきます。また、南町奉行松野壱岐守助義の後任に大岡忠相を登用し、町火消制度を整えるなど、江戸の治安維持にも力を入れます。さらに目安箱を設置し、江戸庶民の訴えに耳を傾ける施策も講じました。

吉宗は、幕府財政の改革にも乗り出します。参勤交代期間の短縮と引き換えに上米令を出し、各藩から米を集め、財政の安定化を図りました。

しかし、金銀、米の相場は思うように安定せず、吉宗を悩ますのでした。

読後の感想

江戸幕府八代将軍徳川吉宗を主人公にした作品です。

江戸幕府も成立から100年以上が経過すると、様々なところに矛盾が生じ始めます。その矛盾を解消しようとつとめたのが吉宗でした。町火消制度の創設や目安箱の設置など、江戸庶民のために尽力したことで知られる吉宗ですが、幕府財政の安定化には、非常に苦労しました。

米将軍と呼ばれるほど、米に対して力を入れた吉宗でしたが、米価はなかなか安定しません。江戸時代中期には、金銀といった貨幣も流通し、米だけが価値を測る尺度ではありませんでした。新田開発で米の収穫量が増えると、金銀でその価値を測った相場は下落するという皮肉な事態に陥ることが、その原因の一つです。

また、金と銀の交換比率の変動もありました。米だけに力を入れるのではなく、金と銀の相場の安定も図らなければならなかった吉宗は、非常に難しい局面に立たされます。晩年の吉宗は、カルテルを結んで金銀の相場を自分たちの良いように操る両替商たちを罰することもできず、苦悩の日々を送ります。

江戸時代も現代と同じように平和になったらなったで、政治家は経済対策に力を入れなければならず、常に難しいかじ取りをしなければならないことがよくわかります。

本作は、徳川吉宗の生涯を1巻で簡潔にまとめており、読みやすい作品になっています。徳川吉宗の政策を物語形式で簡潔に知りたい方におすすめです。

八代将軍 吉宗-堀和久
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