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市塵(上)

甲府藩の用人間部詮房は、次期将軍に藩主綱豊を推す計画を新井白石に打ち明けます。5代将軍綱吉の世で、取り潰しに遭う大名や旗本、生類憐みの令により息詰まる生活を強いられる庶民を救うため、白石は間部詮房とともに幕政改革に乗り出します。

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主な登場人物

あらすじ

新井白石は、甲府藩の用人間部詮房と談合していました。

将軍綱吉の娘鶴姫が亡くなり、次期将軍に藩主綱豊(徳川家宣)を推し、その下で白石と手を取って新しい政治を作っていくのだと間部は打ち明けます。

綱吉は、将軍職に就くと大名、旗本の失策を取り上げて取り潰し、減俸、免職を行いました。また、生類憐みの令を出し、江戸市民からも反感を買っていました。これらを改めることを間部詮房は新井白石と組んで変えていこうとしていたのです。

そんな中、幕府は貨幣改鋳を決定し、金銀の発行量を増やすことにします。また、新たな生類憐みの令も交付されることになりました。しかし、間もなく綱吉が逝去し、家宣が将軍となると直ちに生類憐みの令の廃止を決定します。

貨幣改鋳や財政逼迫で幕府政治が揺れている頃、一人のローマ人が薩摩・屋久島にやって来るのでした。

読後の感想

新井白石を主人公にした作品です。

時代は、5代将軍徳川綱吉から6代将軍徳川家宣へと代わる頃。新井白石が間部詮房とともに幕政に関わっていきます。

物語は静かに進み、幼い娘の早世や妻女の気苦労など、庶民的な目線が随所に見られます。

この頃の江戸幕府は、金銀の改鋳により貨幣の流通量を増やし財政再建を図っていました。貨幣改鋳を進めるのは荻原重秀。しかし、朱子学に傾倒する白石は、貨幣改鋳に否定的な立場を取ります。

江戸時代の小判は、金の含有量がその価値を決めると多くの人が思っていました。現代では、貨幣はモノやサービスの価値を測る尺度であり、貨幣そのものがどのような物質でできているかは、貨幣の価値を意味しないのが当たり前となっています。しかし、江戸時代では、貨幣そのものに表象する価値が備わっていることが重要視されていたため、貨幣改鋳により金銀の含有量を減らす行為は貨幣そのものの価値を下げる行為だと考えられていました。本作を読むと、新井白石もまた、貨幣改鋳は悪政だと考えていたことがとうかがえます。

白石が、薩摩・屋久島にやって来たローマ人、東山天皇即位などに対応する中、弟子の伊能佐一郎が出奔します。

市塵(上)-藤沢周平
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