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徳川慶喜(1)

黒船来航以来、騒然とする国内。病弱な13代将軍家定の後を継ぐのは英明な人物でなければならないとする世論に押されるように一橋慶喜が次期将軍の候補に挙がります。幕府、水戸藩、薩摩藩。それぞれの思惑が入り乱れる中、慶喜の意思とは関係なく時代は動いていくのでした。

主な登場人物

あらすじ

薩摩藩主島津斉彬の命を受けた西郷吉兵衛(隆盛)は、水戸の藤田東湖を訪ねます。

黒船来航以来、騒然とする国内。この国難を乗り切るためには、病弱な13代将軍徳川家定の次に将軍となる人物は英明さが必要だと多くの者たちが論じています。その英明さを持つ人物として挙がったのが一橋慶喜(徳川慶喜)でした。

藤田東湖と会った西郷吉兵衛は、一橋慶喜こそが次期将軍に相応しいと思うようになります。そして、実際に慶喜に会おうと試みましたが、警護に阻まれ接触することができませんでした。

周囲が慶喜を次期将軍にすべく活動しているものの、当の本人はまったく将軍職を継ぐ意志はなく、家臣の平岡円四郎の説得にも耳を貸す気配がありません。

安政2年(1855年)10月2日。将軍継嗣問題で揺れる中、江戸で大地震が起こります。水戸藩主徳川斉昭の片腕として働いていた藤田東湖は、この地震で圧死。京都では尊王攘夷運動が盛んになり、世はますます騒然としていくのでした。

読後の感想

江戸幕府15代将軍徳川慶喜を主人公にした作品です。

慶喜は、水戸藩出身です。水戸藩は、尾張と紀州と並び徳川御三家ですが、将軍を出すことができない家とされていました。水戸は朝廷を重んじる家柄であり、それが理由ではないかと考えられています。

水戸出身の慶喜が将軍となることは、従来の慣習を破ることとなります。慶喜が水戸から直接将軍となることは憚られること。それなら、いったん一橋家を継いでから将軍とすれば良いのではないか。父の徳川斉昭がそう考えたかどうかはわかりませんが、慶喜が一橋家を継いだことには深い意味がありそうです。

1巻では、慶喜の登場は多くありません。前半は、将軍継嗣問題がどのようなものなのかを説明する形で、西郷隆盛を中心に物語が進んでいきます。慶喜が登場する頃には、読者は時代背景を理解できており、慶喜のセリフがすんなりと頭に入ってくると思います。

徳川慶喜(1)-山岡荘八
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