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新選組始末記

新選組隊士の関係者の証言を元に書かれた作品です。局長の近藤勇が主人公で、試衛館道場時代から板橋で処刑されるまでが描写されています。史料の引用も豊富で幕末史を知る上でも参考になる作品です。元祖新選組作品。

主な登場人物

あらすじ

小石川小日向柳町の試衛館道場の流儀は天然理心流で、近藤勇(こんどういさみ)が営んでいました。

塾頭で師範代の沖田総司は、二十歳になるかならないかの若輩ながら、剣法は天才的の名手。他に土方歳三(ひじかたとしぞう)、井上源三郎が生え抜きで、北辰一刀流の千葉道場出身の藤堂平助や山南敬助などもいました。また、神道無念流を使う永倉新八や種田宝蔵院の鎗(やり)を使う原田左之助も試衛館道場に入り浸っていました。

文久2年(1862年)の暮れに幕府の浪士募集に応募することにした近藤勇たち試衛館道場の一派は、翌年の春に京都へと旅立ち、芹沢鴨(せりざわかも)一派と新選組を結成します。

会津藩の庇護のもと、尊王攘夷(そんのうじょうい)を叫ぶ志士たちを取り締まる新選組は、芹沢鴨との内部抗争を経て、やがて近藤勇を頂点とした組織へと変わります。

元治元年(1864年)6月の池田屋事件、その1ヶ月後の蛤御門(はまぐりごもん)の変で、幕府から高い評価を受けるようになった新選組。しかし、慶応元年(1865年)の伊東甲子太郎(いとうかしたろう)の入隊から、新選組内部は混乱し始めます。

慶応3年3月の伊東一派の離脱と彼らの粛清。その残党たちによる近藤勇の狙撃事件。組織の混乱の中で戦った鳥羽伏見の戦で敗北した新選組は、江戸での巻き返しを図るも、時勢に抗うことはできず、やがて近藤勇に最期の時が訪れるのでした。

読後の感想

新選組始末記は、昭和3年(1928年)に発表された作品です。

主人公は、新選組局長の近藤勇ですが、作品の内容は小説というよりも、新選組の歴史を隊士の関係者の証言を元に記したものと言った方が適しています。

多くの新選組作品が、新選組始末記を参考に書かれているので、一読しておくと、他の新選組作品をより楽しめるでしょう。

また、随所で史料も多く引用されているので、幕末史を知る上でも参考になります。

新選組始末記-子母澤寛
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