沖田総司恋唄
池田屋に潜伏していた山崎蒸が、土方歳三に浮浪が出入りしていることを伝えます。四国屋でも浪士たちの集会があるとの情報を得た土方は、新選組を二手に分け、沖田総司らを池田屋に向かわせ、浪士たちの捕縛に成功しました。しかし、池田屋から戻った翌日、総司の顔は青ざめていました。 |
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主な登場人物
あらすじ
池田屋に潜入していた山崎烝から土方歳三のもとに浮浪がしきりに出入りしていることが報告されました。
土方は、池田屋で何か動きがあれば、すぐに連絡できるよう、京都所司代配下の者を三条大橋近くに忍ばせておくと山崎に伝えます。
沖田総司ら新選組隊士は、枡屋に踏み込み、主人の喜右衛門を捕えて壬生の屯所に連行しました。そして、土方が、喜右衛門に拷問をかけ、明日、池田屋に浪士が集まるとの情報を引き出しました。
一方で、浪士たちの集会は四国屋で行われるとの情報も得ていた新選組は、隊士たちを二手に分け、片方を池田屋、もう片方を四国屋に向かわせることにします。
沖田総司は、局長の近藤勇らとともに池田屋に向かい、見事に浪士たちの捕縛に成功します。しかし、翌日になって、沖田総司の顔色は異常に青ざめていました。
その後も、総司は、浪士取り締まりに活躍し、洛中で鬼沖田と呼ばれるようになります。
近藤勇が江戸で知り合った医師の松本良順(松本順)が、新選組の屯所を訪れます。松本は、隊士たちを診察し、総司が労咳であることを近藤と土方に伝えました。
新選組の仕事をこなす病気の総司。その合間に医師の豊岡正庵のもとで診察を受けます。そして、正庵の娘おしのと出会い、恋をするのでした。
読後の感想
新選組の沖田総司を主人公にした作品です。
沖田総司は、新選組の中で最も強かったと言われるほどの剣の達人でした。鬼沖田と浪士たちに恐れられるほどの腕前で、池田屋事件での活躍が特に有名です。
しかし、沖田総司は、若くして結核にかかったため短命に終わっています。彼の短い人生を恋を主題に描いたのが本作です。
沖田総司は、作品によって様々に描かれていますが、本作では、松本良順の『松本良順日記』とこれを集約した『蘭疇』をもとに沖田総司が描かれています。松本良順によれば、剣を取っては鬼と恐れられた沖田総司でしたが、性格は穏やかで、笑顔が絶えない好青年だったようです。
結核の治療のため通っていた医師の豊岡正庵には、おしのという娘がいました。本作の沖田総司は、おしのに恋をしますが、自分の病気から、それは叶わぬ恋だと悟っていました。また、京都での新選組の評判の悪さから、沖田総司は、自分が新選組隊士だということを隠していました。病気と身分という2つの事情が、二人の恋の行方を複雑なものにしていきます。
沖田総司は、病気の療養中に同じく結核にかかった少女おゆきとも出会います。自分が不治の病であることをわかっていないおゆきと沖田総司との関係も、切なく感じます。
沖田総司恋唄-広瀬仁紀 |
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