天と地と(下)
武田晴信に領地を奪われた信州豪族たちが、越後の長尾景虎を頼ってきます。豪族たちの頼みを聞き入れた景虎は、武田との戦いを決意しました。長きに渡る川中島の戦い。4度目の合戦で名を上杉政虎と改めた景虎は、思い切った戦いを挑むのでした。 |
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主な登場人物
あらすじ
武田晴信(信玄)に領地を奪われた信州の豪族たちが、長尾景虎(上杉謙信)を頼ってきました。
景虎は信州豪族たちの頼みを聞き入れ、武田晴信と戦うことを決意します。これが5度に渡る川中島の戦いの始まりです。
最初の戦いは大したことはなく、2度目の戦いも武田晴信が諏訪御前の容体悪化から今川義元に和平の仲裁を頼み、勝敗は決まりませんでした。
この頃から、景虎は越後内での豪族間のもめ事に嫌気がさし毘沙門堂に引きこもるようになりましたが、再び、武田の動きが怪しくなってきたため3度目の川中島決戦に挑みます。3度目の戦いは接戦となりましたが、長尾勢の踏ん張りにより、景虎の有利のまま終戦しました。
永禄2年(1559年)。景虎は入京し、関白近衛前嗣と出会います。そして、将軍から関東管領職の継承を許されました。
関東管領となった景虎は、北条討伐に動き出します。この直後に景虎は上杉政虎と改名しました。
武田の動きが再び活発になります。政虎は、今度こそ決着をつけようと信玄に勝つか負けるか二つに一つの大戦を挑むのでした。
読後の感想
「天と地と」の最終巻です。
上杉謙信の生涯のライバル武田信玄との長きに渡る川中島の戦いが始まります。謙信も信玄も名将ですが、両者の戦い方は全く異なります。緻密に計画を練り時間をかけて領地を拡大していく信玄に対し、謙信は短期決戦型。戦闘中も、信玄は軍勢の後方から指揮しますが、謙信は先頭に立って兵たちを鼓舞しながら戦います。
謙信の戦い方は、非常に危なっかしく思えますが、その戦い方で負け知らずなのですから、戦国大名の中では戦術に秀でていたのでしょう。一方の武田信玄は、負けない戦い方をする武将として描かれているように思います。戦略を練り、十中八九勝てると判断した時に動くのが信玄流ではないでしょうか。
このような戦い方の違いは、両者の性格の違いと言えそうです。潔さを重視する謙信は、多くの人が共感する生き方だと思います。対する信玄は、腹黒い政治家の印象が強く、本作では晩年の徳川家康のような狸親父ぶりが目立ちますね。
最終巻で最も白熱するのは、やはり4度目の川中島の戦いです。信玄は謙信が短期決戦を挑んでくるのを読み、謙信は信玄に時間敵余裕を与えずに勝利する方法を模索します。
この辺りの両者の駆け引きの巧みさが最終巻の読みどころですね。
天と地と(下)-海音寺潮五郎 |
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