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天と地と(中)

酒色に溺れる兄晴景に不安を覚える景虎。このままでは長尾家の将来はないと考えた景虎は、晴景を無視して長尾俊景討伐のために挙兵します。その後も、態度を改めない晴景に苦悩し続けた景虎は、ついに晴景から長尾家の家督を奪う決心をするのでした。

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主な登場人物

あらすじ

家老昭田常陸介の裏切りにより、長尾晴景は春日山城を奪われました。長尾景虎(上杉謙信)は、春日山城を脱出。そして、宇佐美定行を頼ることに。

その後、春日山城に戻った晴景ですが酒色に溺れ信頼を失っていきます。一方、宇佐美定行のもとで兵法を学ぶ景虎は、武将らしく成長していきます。

景虎は、晴景に諫言しますが聞き入れられません。そのため、景虎は、晴景抜きで長尾俊景討伐のために挙兵。見事、俊景を討ち取りました。

俊景討伐後も晴景は長尾家の当主らしい振る舞いをしません。このままでは長尾家の将来はないと考えた景虎は、ついに晴景を当主の座から引き降ろすために兵を挙げ、晴景を隠居させます。

二十歳で長尾家を継いだ景虎は、姉の綾を上田の長尾政景に嫁がせ、長尾家当主の座を確固なものとしました。

天文20年(1551年)。関東管領の上杉憲政が小田原の北条氏康との戦いに敗れます。弱体化した上杉家にとって管領職はもはや形式的なものでしかありません。

そのような状況にある上杉憲政は、管領職を景虎に譲る決断をします。景虎は憲政の頼みを承諾し、上杉の名跡も相続するのでした。

読後の感想

長尾景虎の青春時代は、長尾家の内紛に費やす日々でした。兄の晴景は酒色に溺れ、長尾家の当主らしい振る舞いをしません。

このままでは長尾家は、長尾俊景に奪われるかもしれません。だから、景虎は晴景にもっと当主らしく振る舞うように諫言します。しかし、晴景は聞き入れません。景虎は、当主の兄を立てるべきだと考えていますが、一方で、このままでは長尾家の将来はないとも思います。

このように迷う景虎に助言を与えるのが宇佐美定行でした。どんなに武将として優れた才能を持っていても、景虎はまだ若すぎます。だから、人の心情の複雑さを理解することができません。宇佐美定行は、景虎を大人にするために絶対に必要な存在であり、彼なくして後の上杉謙信は誕生しなかったでしょう。

中巻では、上杉謙信の生涯のライバルとなる武田晴信(信玄)も登場します。

天と地と(中)-海音寺潮五郎
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